ジャズギターおすすめ教則本(基礎)

ジャズギターを練習するにあたっての、基本的な書籍を紹介する。理論の勉強や、ジャズの練習方法、心構えなどについて書かれた本。

1. 理論

The Jazz Theory Book (Mark Levine)
ジャズを演奏するならば、やはり基本的な理論の勉強は必要。理論偏重は避けたいが、理論をベースにして、演奏が拡がってゆくし、ジャズという音楽ならではの楽しみが深まることは間違いない。
このJazz Theory Bookは分厚くて内容がやや多いが、一冊あると安心だし、何よりも豊富な譜例があって面白いので、飽きずに読み進むことができる。英語版でも平易な英語で読みやすいが、日本語版でも良いかもしれない。

当ブログでの過去の紹介文

2. 曲集

ジャズ・スタンダード・バイブル(納浩一)
上達のために不可欠なのが、ジャムセッション参加。というか、アマチュアのジャズミュージシャンにとっては、セッションこそが活動の中心ともいえる。

セッションでよく演奏されるのがスタンダード。なので、スタンダード曲をたくさん知っておくことが重要だし、スタンダード曲を練習することによって、特にコード進行の成り立ちのようなものを把握し、耳や指を鍛えることができると思う。

スタンダード曲集の類はいくつか出版されているが、この「ジャズ・スタンダード・バイブル」は多くのジャムセッションで参加者から「黒本」の愛称で愛用されている、ほぼ業界標準となっているもの。ジャズを志す者なら、持っていて損はない、というか必携といってよいだろう。従来版と、リング綴じのハンディ版があるので、お好みで選択を。

ジャズ・スタンダード・コレクション(菅野義孝)
上記「黒本」の他にも、この「ジャズ・スタンダード・コレクション」もスタンダード曲集として高い人気を得ている本である。この本、黒本よりも収録曲数が少ないが、いくつかの点において黒本よりも使い勝手が良い。各曲のコード進行の分析が記載されているので、アドリブのためのアナライズや転調(いわゆるAny Key)などの目的にはピッタリである。練習のお供として手元に置いておきたい。
ジャズギター学習者の間では有名な「菅野メソッド」(「目からウロコ」メソッド)の菅野義孝氏の著書なので、菅野メソッドで練習する人にとっては、特に親和性が高いので各曲に対する理解がしやすくなるので、おすすめ。

3. その他

ジャズの壁を超える100のアイディア(布川俊樹)
ジャズを演奏するために、どのような練習をすればよいのか、何が大事なのか、などがQ&A形式でわかりやすく解説されている。ギターに特化した技術や練習法についても書かれているし、聴くべき音源の紹介などもあるので、ジャズギターを練習する者にとっては、まるごと一冊、しゃぶりつくせる本だ。以前、著者布川氏のウェブサイトに掲載されていた非常に有名なQ&Aコーナーをベースにしたもの。後半はJazz Guitar Bookに連載されたエッセイをまとめたものだが、これもまた、ジャズミュージシャンの音楽に対する視線がうかがえて楽しい。私はもう、何度も読み返したが、読むたびに気づきを与えてくれる名著。

ジャズギター理論読本(矢堀孝一)
書名は「理論読本」だが、一般的に「理論」と呼ばれているものの解説書ではないので、冒頭の「1. 理論」の項に分類しなかった。どちらかというと「理論」とどのように付き合うべきか、について著者自身の考え方を紹介している本。ではあるが、「理論」とは直接関係なさそうな多彩なテーマについて語っている章も多く、そのいずれもが非常に興味深いし、矢堀氏ならではの理知的なアプローチでジャズギターの上達法を追求した話題ばかりで、非常にためになる。この本も、私は折に触れて書棚から取り出して読み返している。