坂本龍一「音楽は自由にする」

音楽は自由にする

坂本龍一の「音楽は自由にする」を読んだ。坂本龍一が、幼少から現在(2007~2009頃)までを振り返る自伝的なエッセイ。

正直なところ、今まで坂本龍一の音楽にはそれほど興味はなかった。YMOは、中学生の頃に流行ったから耳にする機会はあったが、特段興味を持ったりすることはなかった。最近、NHKの「スコラ 音楽の学校」を見たりしてたのだが、それでも坂本龍一の音楽には興味なかった次第。

しかしこの本は、とても面白かった。ドビュッシーに感動してのめりこんだ少年時代の話に始まり、いつの間にかのプロとしての活動開始、高橋幸宏や細野晴臣との出会い、映画音楽の活動、YMO再開、などなど、音楽を軸とした人生が綴られている。やっぱり、この人も音楽が好きでたまらんのだなぁと感じながら、気持ちよく読み終えた。

坂本龍一のCD、買って聴いてみようかな。

Charlie Haden “Nocturne”

この夏は、Charlie Hadenをよく聴いた。そんな時に、そのCharlie Hadenの訃報が舞い込んできたのだった。ちょうど、このNocturneを入手して聴いていたところだった。

Nocturne

このアルバム、夏の夜にはピッタリである。ジャズというよりはラテンな曲目ばかりなのだが、まぁそんなことはどうでもいい。夏の夜に、あえて冷房などかけずに、キンと冷やした飲み物片手に、これを聴く。気分は、もうラテンアメリカ。昼間の情熱もさめること半ば、音楽と飲み物でクールダウンしながら何かの幻想を見る、そんなラテンアメリカにトリップ。ま、私は南米には行ったことないけど、そんな気分に浸れるアルバムなのだ。

こんな、目の前に景色が広がってくるような演奏って、ホンマすごいことだ。Charlie Hadenがすごいのか、Gonzalo Rubalcabaがすごいのか。どっちもすごいんでしょうね。下手なギターでも、そんなことができるようになりたい。

Charlie Hadenに合掌しつつ、今夜もこのアルバムを聴いて、とろけるような気分で寝よう。

京都国際マンガミュージアム

京都国際マンガミュージアムに行ってきた。京都府に住んでおり、このミュージアムも近いのだが、なぜか今まで行く機会がなかった。

開館のちょっと後に入場。入口の手前がギフトショップになっており、なんか面白そうなグッズがいろいろ売られている。

まず驚いたのが、約5万冊のマンガが館内の壁面書庫にビッシリ収納されている「マンガの壁」。1970年代から2005年頃までのマンガがあり、もちろん閲覧自由。大人も子供も、気になるマンガをてにしては、そこらじゅうで座り込んで読んでいる。言うまでもなく、海外からの来場者も多い。

吹き抜け壁面の「火の鳥」オブジェ。「京もの活用事業」として、手塚治虫の「火の鳥」を仏師が仏像彫刻の技術で表現した作品。私自身はマンガ「火の鳥」は意味が全く理解できないのだが、この彫刻は色鮮やかで生命力にあふれ、とても魅力的に感じた。

この吹き抜けの場所が東西の渡り廊下のようになっており、火の鳥が明るいガラス壁の南を向いた格好になっている(火の鳥の顔は、少し西を向いているが)。

ミュージアムの公式サイトの画像では、夜間のライトアップでは外からもこの火の鳥が見えるようだ。

今回は、「土田世紀原画展」が開催されていた。土田世紀は、2012年に43歳で夭折。その独特な迫力を持ったタッチとシリアスな空気感は、一度読んだら忘れられない魅力を放つ、そんな漫画家だ。私も学生時代、週刊誌でよく読んだ。「俺」とか「編集王」だな。

あまり説明はくどくどと掲示されておらず、ひたすら原画を見て迫力を感じるという演出であったが、これはおそらく仕事場で使用されていた机だと思う。椅子は長時間の仕事に耐えるための高級な感じのもの。

数少ない掲示の中にあった、奥さんからのメッセージが胸を打つ。土田氏への思い、この原画展への思い、次世代の漫画家への思い。

ちなみに、このミュージアムは、「龍池小学校」の校舎を活用してつくられたもの。一部を除き、昭和4年建造の佇まいが残されているらしい。

昭和に小学生時代を過ごした私としては、この校舎の内装にはグッとくるものがあった。見た目だけでなく、木の香りも、小学校低学年を過ごした古い校舎を彷彿させ、突然、懐かしい気分に浸ってしまった。

ちょうど先日、小学校3年生時代の恩師とクラスメートでの同窓会があり、旧交を温めたところだったので、なおさらこの校舎には感激した。

京都市と京都精華大学の共同事業として整備されたこのミュージアム、日本のマンガ文化の重要拠点でもあるし、純粋に「楽しい」博物館としてもとても魅力的だ。また行こう!

中山康樹「マイルス・デイヴィス奇跡のラスト・イヤーズ」

マイルス・デイヴィス 奇跡のラスト・イヤーズ (小学館101新書)
中山康樹「マイルス・デイヴィス奇跡のラスト・イヤーズ」を読んだ。「帝王」マイルスが1975年に音楽シーンから突如姿を消してから1981年のカムバックを果たし、1991に帰らぬ人となるまでの激動の「ラスト・イヤーズ」がドラマチックに描かれており、一気に読破してしまった。

既に体がボロボロになっていたマイルスが、そんな彼を放っておけない周囲の人々に支えられながら遂に再び音楽にパワフルに向き合い、見事に復活。ひとたびステージに上がれば、病気の体に鞭打って延々と演奏を続けるという姿は、まさに「帝王」である。

過去を振り返らず、ひたすら前だけを向いてジャズという音楽を進化させ続けたマイルスが、その晩年に至ってもやはり前進し続けたドラマは、音楽ファンでなくても感動するはず。

プリンスとの交流やヒップ・ホップの導入など、マイルスの晩年の様々な逸話も紹介されており、ひたすら興味深い。

ジャズギター・ブック (Vol.7) Shinko music mook
ギタリストの視点では、このJazz Guitar Book Vol.7がめちゃ面白い。マイルスを支えたギタリスト達が多く取り上げられ、インタビューがあったり、分析されたりしている。

Ron Carter 「ジム・ホールの思い出」

ジム・ホールの想い出

先日も触れたが、Ron Carterの「ジム・ホールの思い出」。Ron Carter(ba)、Peter Bernstein(gt)、Larry Coryell(gt)。ジャケットもかっこいいので、大きめの画像を貼り付けちゃおう。

1月の亡くなったJim Hallとともに来日するはずだったRon Carterが、Jimとのデュオの代わりにトリオで来日し、追悼ライブを行ったものの録音。

とにかくめちゃくちゃ素晴らしい名盤だ。もう、一曲目With A Song in My Heartの冒頭から、心地よいサウンドにうっとりしてしまう。このトリオが生み出す空気に、一気に引き込まれてしまう。

Ron Carterの語りは初めて聞いた。渋い。

All The Things You Are、Alone Together、いずれも言うまでもなく素晴らしい名演。Alone TogetherはJim Hall、Ron Carterのデュオの歴史的な録音を思い出さざるを得ないが、ここでは、それに全くとらわれず、このトリオならではの音楽をこれでもかと展開してくれる。美しすぎる。

There Will Never Be Another You、この曲って、こんなにエレガントだったのか!どっちかというと楽しい、もっと言うと能天気な雰囲気の曲だと感じながら聴いたり弾いたりしてきたのだが。この演奏で美しく流れるメロディやソロを聴いて、大きく認識を改めた。

St.Thomasもアルバム”Alone Together”での名演に匹敵する美しい演奏。上述のAlone Togetherと同様、歴史的な名演に引きずられない新たなサウンド。どこかの楽園にいるかのような夢見心地で聴いてしまう。

最後はBags Groove。ジャズブルースかくあるべし、という見本のような演奏。ただただひれ伏すばかり。

ヘビーローテーションで聴きまくり。たまらん。