年始から、いきなり懐古

年始だから今年の計画などを宣言したりするかなぁ、とか思いつつ、懐古趣味な読書。「『FMステーション』とエアチェックの80年代 僕らの音楽青春記」(恩藏茂)。

今はジャズギター中心のサル君だが、趣味として音楽にアクセスし始めたのはFMステーションを読み始めた頃だったと思う。それまではフツーにテレビで歌謡曲を聴いたりするだけだったが、中学で同級生Gにこの雑誌を紹介されて買い始めたのだった。

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読書する時に聴きたい曲は?の結果がおもろい


ヤマハの読書する時に聴きたい曲は?のアンケート結果が自分にとってはとても不思議で面白い。ヤマハのアンケートだから、おそらくそもそも音楽が好きな人が回答している可能性が高くて、読書をする人の一般的な感覚とは異なるような気がするが、それでもおもろい。
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俺が叩いた。ポンタ、70年代名盤を語る

先日、村上”ポンタ”秀一の「俺が叩いた。ポンタ、70年代名盤を語る」を衝動買い。今、途中まで読んだところ。
俺が叩いた。ポンタ、70年代名盤を語る
なんかもう、あらゆるジャンルのミュージシャンの名前が出てきて、おもしろくてたまらん本である。ドラマーというポジションは、フロント楽器と違って、後ろから(あるいは上から)音楽全体を見ているという性格があるようで、単にドラムという楽器を叩くというプレイだけでなく、幅広い視点で音楽を捉えている様子がよくわかる。だから、この人の話は面白いのだ。

この本の前半は、赤い鳥や五輪真弓の話などが出てくる。赤い鳥つながりで、竹田一彦先生の名前も出てきてびっくり。あとは、赤い鳥のレコーディングでロスに行ったら、デビューアルバムの録音で来ていた五輪真弓が、そのデビューアルバムで共演したキャロル・キングを連れてきて、キャロル・キングが「これからダニー・ハサウェイのライブ聴きに行こう」と言うから一緒に行ったら、さらにジェイムズ・テイラー、カーリー・サイモン、カーペンターズが来て、みたいな、すごい話が続々と。

冬ざれた街/五輪真弓LIVE
その中で紹介されていたうちの一枚、五輪真弓「冬ざれた街」。このアルバムも、メンバーが豪華だ。村上秀一(dr)、深町純(pf)、石川鷹彦(ac-gt)、大村憲司(el-gt)、高水健司(ba)、村岡健(ss)。そして、そのサウンドは、深い。1970年代の、攻撃的で美しい音楽だ。

さて、この本、後半もなかなか面白そうだ。続いて読もうっと。

小澤征爾 指揮者を語る (100年インタビュー)

小澤征爾 指揮者を語る (100年インタビュー)

小澤征爾 指揮者を語る (100年インタビュー)を読んだ。NHKのインタビューをもとにした本。

2002年からウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めていた小澤征爾が、素人目線での質問に答えてゆく内容。音楽のプロではない立場からの質問ばかりなので、とてもわかりやすい。

大きく分けると、ウィーン国立歌劇場の仕事の話、単身渡欧してからの修行の話、サイトウ・キネン・オーケストラの話、「指揮者とは?」の話。

指揮者が何をやっているのか、については「インバイトだぞ、指揮は」というカラヤンの言葉を使いながら説明しているのが、わかりやすい。そういう表現があるのだな。

他のいろんなメディアでも小澤征爾は早朝から勉強しているという話は読むが、このインタビューでは、ウィーン国立歌劇場の音楽監督室に、早いときは朝4時に来て10時の練習まで勉強すると語られている。この熱意は、見習わなくてはならんなぁ、と長年思ってるけど、全然実行できていない。できる人とできない人の、違いやなぁ

坂本龍一「音楽は自由にする」

音楽は自由にする

坂本龍一の「音楽は自由にする」を読んだ。坂本龍一が、幼少から現在(2007~2009頃)までを振り返る自伝的なエッセイ。

正直なところ、今まで坂本龍一の音楽にはそれほど興味はなかった。YMOは、中学生の頃に流行ったから耳にする機会はあったが、特段興味を持ったりすることはなかった。最近、NHKの「スコラ 音楽の学校」を見たりしてたのだが、それでも坂本龍一の音楽には興味なかった次第。

しかしこの本は、とても面白かった。ドビュッシーに感動してのめりこんだ少年時代の話に始まり、いつの間にかのプロとしての活動開始、高橋幸宏や細野晴臣との出会い、映画音楽の活動、YMO再開、などなど、音楽を軸とした人生が綴られている。やっぱり、この人も音楽が好きでたまらんのだなぁと感じながら、気持ちよく読み終えた。

坂本龍一のCD、買って聴いてみようかな。

私の履歴書・小澤征爾

日経新聞の「私の履歴書」、1月は指揮者・小澤征爾であった。毎日楽しみにして読んだが、昨日で終わり。食道がんとの闘病生活から復帰した小澤氏、これからの活躍にも期待したい。

ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)
学生時代(って、もう20年前か)に読んだ「ボクの音楽武者修行」、当然ながら最近のことは書かれていないが、小澤氏のキャリアの前半が書かれていて、面白かった。スクーターを調達し、ギターをかついで船でパリに向かい、コンクールで優勝して、カラヤンやらバーンスタインやらに師事して・・・と、素人には羨ましいエキサイティングな話が盛りだくさん。でも、この本、処分してしまったみたいで手元にはもう、ない。

音楽 新潮文庫
この「音楽」(すごいタイトルやな)も、20年くらい前に読んだのよね。残念ながら、内容はあまりおぼえていない。というか、全然おぼえてない。学生時代、武満徹のギター曲を演奏したりしてて、その時に読んだという記憶がある。ただ、この本も、手元には残ってない。

あと、今までに録り溜めた小澤氏関連のテレビ番組、なかなか観ることができず、ひたすら溜まる一方。どうしたものか。

フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか

フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか (新潮新書)
浦久俊彦「フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか」を読んだ。正月休みにぶらっと書店に行って面白そうだと思って買ったものだが、なぜ面白そうだと思ったのかは、忘れた(笑)。最近、物忘れがひどくて自分でも心配だ。ま、それはいいとして(よくない)。

この本は、フランツ・リストが女たちを失神させた秘密を分析した本ではない。キャッチーな書名を決めたのは著者なのか出版社なのかわからんが、女たちが失神したメカニズムについて直接的に解説された箇所は少ない(一応、分析されてはいるが、本書の中心テーマとしては扱われていない)。基本的には、この本はリストの生い立ちから晩年に至るまでの生き様を綴った、伝記のようなものである。

これまで、リストには、天才・鬼才といったイメージを抱いていたのだが、この本で描かれているリストは、史上最強のピアニストでありながらも、心優しく包容力にあふれた人物である。本書ではそれを印象づける様々なエピソードが紹介されている。ショパンとの交流も、あたたかな友情によるものであったと考えられる。

結局、ピアノが巧いだけではなく、心優しい人物であったリストが、女たちを失神させるほどの魅力を放っていたということなのではないかと感じる。

日本ではショパンに比べて、評伝が少ないリストであるが、そのリストについて多くの情報を与えてくれる本であった。

津原泰水「ブラバン」

ブラバン (新潮文庫)

1980年、吹奏楽部に入部しコントラバスを演奏した主人公。高校卒業後、四半世紀が経ってから再結成の話が持ち上がる、というストーリーの小節。なんとなく書店で見かけて、買った。私自身はブラスバンドの経験はないし、管楽器は全く演奏できないのだが、このところ大学時代のギタークラブに何度か足を運んだり、先輩や同級生や後輩のボチボチ音楽に触れているという近況を聞いたりしたことと共鳴したので、読むことにした。

40歳を過ぎてからの再結成というあたり、今の自分に重ね合わせて読んでしまった。赤字のバー経営という、トホホな感じの主人公の設定も、なんかリアリティがあってイイ。

この本、作者自身も経験者らしくてやたらと音楽や楽器について詳細な描写がある。このあたり、読者を選ぶのかもしれないが、逆に音楽好きの人間にとっては、わりと引き込まれるものがある。

派手な映画のような大きな感動があるわけではないが、地味なわりに情熱的だった青春、四半世紀を過ぎて現実が見えてきてからの音楽に対する思い、など、共感し感情移入しながら読んでしまった。