布川俊樹氏の名著「ジャズギターの金字塔」の「スタンダード編1」。この本は、私が初めて購入したジャズギターの教則本である。あれから十数年、時々取り出しては読み直している。
前半は、重要テーマである「コードワーク」と「アドリブソロ」を中心に、それらの考え方や実際の譜例、および解説。後半は、スタンダード曲のアドリブ例と簡単な解説(CD付属)。
正直に言うと、もともとクラシックギターしか知らなかった私は、はじめはこの本を読んでも「?」であった。その後、プロのレッスンを受けたり、自分で色々と勉強したり調べたりするにしたがって、この本のシンプルな発想が理解できるようになった。要するにコード毎のアヴェイラブルなスケールを当てはめてソロを弾こうというような考え方をせず、もっとシンプルにトニック/ドミナント/サブドミナントを弾き分けていこうという発想。ひょっとしたら、ロックなどのジャンルからジャズに入ってくる人は、私のケースよりもすんなり理解できるものなのかもしれない。
私は、結局、いろいろと回り道をしながら、時々この本の考え方で頭の中を整理し、そしてまた複雑な迷路に旅立つ(笑)ということを繰り返している。上達すればするほど、この本のありがたみが理解できる気がする。
この本の前半に書かれていることは概ね頭に入ったので(全てのフレーズを憶えたという意味ではなく、自分で考えられるようになったという意味)、最近は後半のスタンダードの演奏例を勉強中。
廃刊された後に数年前に復刻版が出版されたが、それも現在は新品は流通しておらず、Amazonなどでの中古品の出品しかないようなのが残念。
2012年夏に初めて布川氏のライブに行って、旧版の扉にサインをいただき、この本はますます私にとって宝物になってきた。宝物ではあるが、実用書として遠慮なく使いたおしている。