大阪コレギウム・ムジクムの第363回マンスリー・コンサート

2013年1月23日(水)、日本福音ルーテル大阪教会にて。

会社の同僚かつ大学の後輩M君が大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団に所属していることもあり、時々この大阪コレギウム・ムジクムのコンサートを聴きに行っている。

私はこの楽団の、このマンスリー・コンサートがとても好きだ。何が好きなのかというと、ほどよいサイズの奏者数(室内楽やから人数は自ずと決まってくるのだが)、演奏者の雰囲気、そして当然ながら演奏のクォリティである。弦楽を中心とする器楽奏者や合唱団員は、失礼かもしれないが、隣に住んでいそうなフツーのオッチャン、オバチャン、ニイチャン、ネエチャンの雰囲気で、不自然に気取ることがない(強いていうならば、リーダの当間修一氏が只者でない印象だが)。本当に爽やかなプロ集団。そんなプレイヤーの人々が、聴衆と気持ちの良い距離で、気持ちの良い笑顔で、しかし一流の演奏をきかせてくれる。いつも「音楽の本来の楽しみ方というのは、きっとこんな感じなのだろうな」と思ってしまう。室内楽かくあるべし。演奏者も聴衆も肩肘張らず、心地よい至近距離で、音の響きを楽しむのだ。

さて、今回の曲目は次の通り:

  • A. ヴィヴァルディ/弦楽のための協奏曲 ト長調 「田舎風」 RV151
  • W. A. モーツァルト/ディヴェルティメント 変ロ長調 K. 137
  • A. ドヴォルザーク/弦楽五重奏曲 第2番 ト長調 Op. 77
  • H. シュッツ/「宗教的合唱曲集」より(連続演奏シリーズ)
     第18曲「もろもろの天は神の栄光を語り」
     第19曲「心からあなたを愛します、おお主よ」
  • J. ブラームス/「何故に労苦する人に光を与え」Op. 74-1
  • 讃美歌連続演奏シリーズ
     第二編259番「主よ、われらを祝し」
  • 混声合唱曲集「日本・こころのうた」より
     鈴木憲夫編曲/こもりうた
     当間修一編曲/雪

まずは、ヴィヴァルディ。いつもながら、清清しく絡み合う弦楽とチェンバロの響きでスタート。モーツァルトのディベルティメントも、エレガントな音楽。アンサンブルのうち、コントラバスの音が比較的明瞭に聴こえており、全体のバランスが良く感じられた。

前半最後は、ドヴォルザークの弦楽五重奏。ドヴォルザークらしい旋律が散りばめられた曲であったが、ちと長かった。楽章同士のコントラストがあまり強くないからだろうか、正直、少し間延びした感があった。演奏はひたすら綺麗なハーモニーを聴かせていたので、まぁ演奏者というよりも作曲者に起因するものと考える。

休憩時間はいつも通り、お茶とお菓子。特に腹が減っているわけではないのだが、なんか嬉しい。この雰囲気が、和気藹々としていて、大好きだ。

後半は、全てハインリッヒ・シュッツ合唱団によるア・カペラ。毎年、オーディションによってメンバを選考しており、レベルが維持されているらしい。恐るべし、合唱界の虎の穴。ちがうか。で、2月にオーディションがあるため、今回のメンバによるステージはこれが最後とのこと。まずは団名にもなっているシュッツを2曲。次にブラームスの「2つのモテット」から「何故に苦労する人に光を与え」、これがこのコンサートの白眉であった。曲目通りの歌詞、冒頭の荘厳な”Warum(何故)”の響きが、ダイレクトに胸を打つ。このハーモニーの美しさ、力強さ、迷いを断ち切った潔さは、いったい何に例えればよいのだろう?思わず、「おおぉ」とため息をつきそうになった。

最後は、日本の子守唄、童謡「雪」でかわいくコンサートが締めくくられた。アンコールは、なし。ダラダラと意図不明なアンコール要求(ホンマに求めてるのか?)が続くコンサートに違和感を覚える私としては、アンコールなしというのはとても良いと思う。少し寒さが和らいだ1月の晩のマンスリー・コンサート、満足しながら会場を後にした。

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