ジャズギタリスト矢堀孝一氏の本。理論とどのように付き合ってゆくのか、について示唆してくれる良書であると思う。
理論そのものを説明する本ではないため、この本を読んでも理論の体系的理解はできないが、文中で「理論書の中で最低限、おさえておくべき項目」が説明されているので、これから理論を勉強する場合でも参考になる。また、既に理論をいろいろ学んだ者にとっても、「実は最重要なのはこれとこれだけだったのね」という理解ができるかもしれない。
また、「理論」の位置づけを説明するために理論以外のテーマについても触れられており、例えば「グルーヴ」の考え方とか、参考になる。
あと、ABC式スケールというのも、興味深い。はっきり言って、世の中にたくさんある教則本に載っているスケールのダイアグラムを見ても、「こんなもん、どうやって憶えるんや?」という気がするのだが、本書で紹介されているABC式という考え方を取り入れれば、わりと頭の中が整理できるかもしれない。ただし、メジャースケール以外については(メジャースケールであっても、いくつかのポジションについては)、多少複雑な考え方をしなければならないので、ABC式は「参考として」あるいは「指板上のスケール音の配置のイメージの補助として」理解しておくという程度が良いのかもしれない。