ボサノヴァ & ジャズ アナライズ集

ベーシスト宇野重行氏による「ボサノヴァ & ジャズ アナライズ集」。昨年末に出版されたばかりの本だが、早くもジャズ学習者必携の書と呼ばれること間違いなしと確信。

ジャズやボサノヴァを弾いていると、不思議なコード進行と出会うことが多いが、その成り立ちがよくわからんままアドリヴもコンピングも弾き、その後にアナライズすることもなく放置するというパターンが多い(あ、ズボラな私の話)。これでは暗譜もAny Key演奏もハードルが高いままだし、そもそも自分が演奏している音楽で「何が起こっているのかわからない」っていうのは相当に気持ち悪い。この本のアナライズは、そういう学習者にとって救世主といえる。

前半はAntonio Carlos Jobimのボサノヴァ曲、後半はジャズスタンダード曲、そして最後にSatieのGymnopedie No.1、のアナライズ。Jobimの曲は(耳に心地よいのと裏腹に)アナライズが難しいものが多いので、この本での解説はありがたい。ジャズミュージシャン観点からのSatieのアナライズには実に18ページが割かれており、興味が尽きない。

Berklee College of Musicの講義内容をベースに、宇野氏がウェブサイトで解説されていた内容を発展させて本にまとめられたものであり、「こんなに解説してもらっていいんでしょーか?」と思うくらいに興味深い説明がされている。ウェブサイトもとても素晴らしいが、ジャズのアナライズをちゃんと勉強するならば、一覧性や読みやすさの観点で、紙の本書を入手の一択。

以前、Jazz Lifeに連載されていた井上智氏のスタンダード曲解説も、これに近いものだったかもしれないが、あれは単行本化されていないと思う。現在、一般に入手可能なアナライズの本は、私が知る限り、この宇野氏のものだけだ。しかも、この一冊を勉強すれば自分で相当にアナライズできる力が身に付くと思う。面白すぎて、トイレにも持ち込んでしまう今日この頃。

いやホンマ、すごい本が出たもんだ。

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