Bill Frisellのサウンドにシビれる

コロナ禍の住宅街でBill Frisellがトリオ演奏をする動画を見て、そのサウンドがとても心地よかったので、Frisellのアルバムをいくつか聴いてみたり、調べてみたりした。今まであまり集中的に聴いたことなかったのだが、いいですなー、Bill Frisell。

Bill Frisellの音楽といえば、空間系の浮遊感漂うサウンドのイメージ、そしてフォークやブルースなどが香る古き良きアメリカンなメロディー。そしてその音色の美しさは他に類を見ない。Frisell自身の元々のセンスなのだとは思うが、長くPaul Motianと演奏してきたことの影響もあるんやろな。

センス抜群な空間系サウンドを支える機材。色々とExploreしている人なので、機材が色々と変わるみたいで、何が最新情報なのか不明なんだけど。頭の中にあるイメージを実現するために色んな機材が増えていったと本人が言っており(当たり前ではあるが)、つまり常に頭の中で鳴る音のイメージが進化し続けているからこその機材セットの進化なのよね(これまた当然の話なのだが)。

まずLine6 DL4 Delay Modeler。彼の多くの演奏で、これが醸し出す幽玄なディレイがそのサウンドを大きく特徴づけていることがわかる。インタビュー動画を見ていると、DL4は大好きでたくさん所有している模様。これが彼のサウンドのキモの一つであることを考えると、まぁ頷ける話ではあるが、いっぱい持っていて、どうすんのやろ?個体差があるんだろうか?

テレキャスターのサウンドを軽く歪ませる美学っていうのがたまらんのだが、おそらくその中心的役割を担っているのがIbanez Tube Screamer。

インタビュー動画によると、初めて手に入れたエフェクターが歪み系だったと思う、だそうな。以前はディストーションはRATを使用していたようだが。2017年頃の画像を見ると、歪み系にSarno Music SolutionsのEarth Driveが導入されたようにも見えるが、Youtubeでコロナ禍での演奏を見ると、Tube Screamerの明るい緑色のペダルが見える。いつもの定位置あたりにあるから、おそらくTube Screamerだと思う。

いつもTube Screamerの左横にセットされているのが、Catalinbread ファズ/ディストーション Katzenkoenig。

インタビュー動画でも「このメーカーはイイの作ってる」って嬉しそうに言っている。「これ(のサウンド)は、Pro Co RATを思い出させる」とのことだが、2012年のインタビューでは「RATも使うけど、ほぼいつもTube Screamerを使う」って言っている。まぁRATの後継としてTube Screamerがあるという単純な構図ではなく、Tube ScreamerとKatzenkoenigの組合せがFrisellの歪みサウンドを支える重要な役割を果たしているということか。

electro-hamonixのサウンドリテイナーFreezeも非常に気に入って使用している模様。これはピアニストのようにハーモニーの上に別のハーモニーを載せるという効果を狙って使用している、とのこと。

このFreezeは、Mike Moreno大先生やGilad Hekselmanも使用している。コンテンポラリーなスタイルでは必需品、というか相当に便利なツールなのだろうけど、これをうまく使いこなすのは難しいだろうな。というか、これを使用しているギタリストは、どういう発想で、どんな音が頭の中で鳴ってるんやろか?

Strymonのトレモロ&リヴァーブ FLINT。これも現在のBill Frisellの空間系サウンドには欠かせない存在。インタビューでは「これのトレモロとリヴァーブのインタラクションが、良いアンプとトレモロの組合せに非常に近い」と言っている。実際に表現される音を聴いていると、ホンマその通りって感じがする。

このFLINT、Julian Lageも使用している。テレキャスター&FLINTっていうのは相性が良いのだろうか。個人的にも魅力的なエフェクターやな。

jazz guitar book Vol.29に、Bill Frisellに関する記事がいくつか掲載されており、興味深い。「空間変幻自在」なPaul Motianのバンド出身のギタリストの筆頭として。インタビューの他、奏法分析も充実。様々なジャンルの音楽が混在となって実現しているBill Frisellの音楽、研究し甲斐がありそう。まぁ色んな要素がハイレベルで融合しているからその正体を明文化することは無理なんだろうけど。いやホンマ素晴らしい、Bill Frisell。

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