Julian Lageの”Love Hurts”。Julian Lageのこの数年のプレイにはかなり興味を持っているのだが、このアルバムはそのJulianの音楽の現時点での集大成と呼べそうな内容。Julian Lageが追求し到達した頂点のサウンドを堪能することができる。
アルバム一枚を通して、ほとんど全ての演奏において、ピキピキと弾きまくることはなく、むしろ音数を抑えて歌心で聴かせる。攻撃的な音は一切なく、ひたすら素直な音で歌い上げる。もう、ホンマにこれ、音楽の原点よね。絶妙にコントロールされたダイナミクス、歪みの効いた音色、全てがJulian Lageの美学としてシンクロナイズしている。
全曲とも最高なのだが、白眉はやはりタイトル曲のLove Hurtsか。Julianの音楽、ここに極まれり。30代前半にして、この境地に至ったか。未だもがいているオッサン(=私ね)を尻目に、この世界観。よくよく考えてみると、ソロを何コーラスも弾きまくることがなく、これはピュアなジャズなのか?と思ってしまうが、まぁそんなことはどうでもいいやね。この優しさに満ちた音楽に、ただただ身を委ねよー。
それにしても、この歪みの美学は、すごい。崩壊寸前の美。このアルバムで使用した機材は不明だが、最近愛用していた(いる)このTube Dreamerかもしれない。最近のJulianの「テレキャスター+歪みでギタートリオ」というフォーマットの現時点での到達点を、アルバムという形で提示し、記録したのがこのLove Hurtsなのだと思う(ギター本体は、最近はテレキャスターじゃないのを使用している模様だが、何なのかわからない)。このサウンドを耳にすると、自分も歪み系のエフェクターが欲しくなるな。でもいつもハウリングと格闘しているフルアコで歪みを入れるとどうなるんやろ・・・
あと、最近はこのチューブアンプトレモロ&リヴァーブのStrymon FLINTも使っているらしいので、その効果もあるかもしれない(これに関しても、このアルバムで使用したかどうかは不明)。
あまりエフェクターを多用しないJulian Lageだし、機材に頼る人物ではないとは思う(Julianの音楽を見聞きしていると、「攻防は筆を選ばず」を実感してしまう)が、厳選されたこれらのエフェクターのバックアップを得つつ、自身の歌心に支えられた天才的なタッチが形となって現れたこのLove Hurtsは、まさに人類の宝だといえる。