Keith Jarrett “Bop-Be”

びわこジャズフェスティバルで演奏する予定のBop-Be、作曲者Keith Jarrett自身による演奏が聴きたくて入手。American Quartetによる最後の作品(1977)。Keith Jarrettにとっては、ECM以外での最後の録音(ただし、1990年代にリコーダーのMichala Petriとのクラシック作品の録音がRCAにあるのが例外)。

バップ・ビー

  • Keith Jarrett (pf)
  • Dewey Redman (ts)
  • Charlie Haden (ba)
  • Paul Motian (ds)

かなりオモロい感じのアルバムだ。各パートが綺麗によく聴こえる録音。特にベースがよく聴こえて、気持ちよい。

1曲目”Mushi Mushi”。ムシムシってナンデスカ?以前、米国で日本語で「もしもし」って電話してたらスペイン語圏の友人が「ムシムシ」と言って真似してた。ムシムシに聞こえるらしい。このMushi Mushiはそれなのか?不明。ま、いいか。

Charlie Hadenによる”Silence”は、タイトル通り、静かな印象の曲。ただし、バラードという感じではない。

で、アルバムタイトル曲はサックスを除いてピアノトリオでの演奏。Keith Jarrettは延々とアドリブソロ。ノリまくっている。次のコーラスの途中からのCharlie Hadenのベースソロは、どういう譜割りのつもりなのか、何度聴いてもよくわからん。ドラムとピアノのリズムに乗っかって自由に弾いている感じ。この曲は、なんかおちょくったような、冗談めいた雰囲気を持っていると思う(タイトルからして、なんかふざけた感じだ)が、このトリオでの演奏は全然ナメた感じじゃなくて、洗練されたリズム・ハーモニー・メロディーを聴かせる。さすが一流だ。

続いての”Pyramids Moving”はサックス+パーカッションでのフリージャズ風の曲。続く”Gotta Get Some Sleep”は再びカルテット。

そして”Blackberry Winter”には、完全に打ちのめされた。L.McGlohonとA.Wilderによるバラード作品、ここではまたピアノトリオによる演奏。この、限りなく美しい濃密な音楽。これは一体、何なんだ!神懸ったドラムとベースのリズムに包まれて、ゆったりと歌うKeith Jarrettのピアノ、しかし決してサラリと軽く流れることがない、ひたすらに濃い時間。もう一回叫ぶけど、これは一体、何なんだ!矛盾する表現だが、このリラックスとヒーリングを生み出す、もの凄い緊張感。これを聴いて、Keith Jarrettが1996年頃から慢性疲労症候群に悩まされたというのが、わかる気がする(※)。彼は、これだけ全身全霊を捧げて音楽を創り出していた(いる)のだ。

(※)医学的根拠とは関係なく、あくまでリスナーとしての印象を書いた。慢性疲労症候群は原因不明の疾患で、単なる心身の「疲れ」とは異なるものらしい。

Blackberry Winterって造語かと思ったら、米国南部の春の寒い日を指す言葉なのね。北部に住んでいたので、一度も聞いたことなかった。北部は、春でもそこそこ寒かったし。ま、ピアノトリオによるこの演奏は、そんなタイトルや歌詞を知らなくても、ひたすら美しいのだが。

でも、やっぱりこれでアルバムを締めくくるのではなく、最後はCharlie Haden作曲の”Pocketfull of Cherry”。Blackberryの次はCherryですか。American Quartetらしい演奏で、明るく楽しく終わる。

複数の編成が入れ替わりで出てくるし、異なった曲想の曲が盛り込まれており、盛りだくさんな内容の一枚だ。大満足。

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