simbiose

Daniel Santiago & Pedro Martinsによるギターデュオのアルバム。現代のブラジルを代表する凄腕ギタリスト2人による、ブラジルの香りを漂わせる、コンテンポラリー寸前(?)の絶妙な音楽。

とにかく両者、凄すぎる。強烈なグルーヴを湛えたリズム、とめどなく流れるフレーズ。緊張と緩和が共存する舟に乗ったが最後、聴衆はいったいどこまで連れてゆかれるのか。

Pedro Martins。コンテンポラリーなジャズミュージシャンの多くが最近の注目ギタリストとしてその名を挙げる若手。Caipiで皇帝Kurt Rosenwinkelと奏でたサウンドも自身のアルバムで聞かせたサウンドもコンテンポラリーそのものなのだが、当然ながらブラジルのトラディショナルな音楽をベースとしており、アコースティックに近いフォーマットでの演奏がとてつもなく素晴らしい。このアルバムのサウンドは、それらの中間あるいはやや後者寄りという感じか。

先輩であるDaniel Santiagoも、バンドリニストのHamilton de Holandaのクインテットのようにブラジル音楽のルーツを強く感じさせるものからコンテンポラリーなものまでをこなすスタイル。二人とも、一体どれが基本スタイルなんだろうか。まぁ本人たちからしてみれば、全ての音楽を同じスタイルで奏でているという感覚なのかもしれないが。

インストにフェアリー・ヴォイスを重ねるサウンドは、Caipiなどでも聴かれるもので、Pedro Martinsの演奏では当たり前のように出現するもの。これが独特な雰囲気を醸し出す。ギターデュオで単調となりがちな音楽にスパイスを与えているとも言える。

このアルバムの後、二人は共同プロデュースでDaniel Santiago名義のアルバム”Union”をリリース(Pedro Martinsはキーボードやシンセサイザー、プログラミング等で参加)、そこで聴かれるサウンドはこの”simbiose”からは大きくコンテンポラリーなものに飛躍している。そういう意味では、この”simbiose”は二人が奏でるアコースティックな音楽の貴重な瞬間を捉えたものと言えるのかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です