まさかの「弾かない」Pat Metheny

Pat Methenyの最新アルバム”ROAD TO THE SUN”。内容は、1曲を除きPat Metheny自身は弾かないという斬新なもの。もう少し具体的にいうと、Pat Methenyの楽曲をクラシックギタリストが演奏し、Pat Methenyが演奏するのは最後の1曲だけ。そう来たか!

まず、4つのパートから成る “Four Paths of Light” をJason Vieauxが演奏。クラシックギターの機能的な可能性と限界を把握した作りのこの曲は、この数十年ほどの、「ギタリストによるクラシックギター用の作品」の流れに乗っているようにも聴こえるが、曲想はまさにPat Methenyのそれである。Pat Metheny Groupなどで演奏される壮大な組曲をクラシックギター独奏で表現したとも言えるかも。Pat Methenyの幅広い音楽的関心がアウトプットとして現れているのを感じる。

次に、6つのパートから成る “Road to the Sun” をLos Angeles Guitar Quartetが演奏。これも同様の印象。LAGQといえばバカテクなギタリスト四人衆というイメージがあるが、この曲においてはやや静寂と向き合う演奏を聴かせる。

今まで知らなかったのだが、Jason Vieauxは “Images of Metheny” というアルバムでPat Methenyの曲を弾いているし、LAGQもPat Methenyの曲を取り上げたりしていたので、いずれもいわばPat Methenyとは相思相愛っていうか相互のリスペクトがあるっていうことなのかもしれない。

さて!最後に、何とアルヴォ・ペルトの “Fur Alina” をPat Methenyがピカソ・ギターで演奏。このアイディアには、見事にやられた。その手があったか!ピカソ・ギターって、Pat Methenyのライヴにおいても部分的にしか用いられないし、本当に限定的な使い方しかないのかなって思っていたが、アルヴォ・ペルトと来たか!これは素晴らしい。やられたわ。

変化と進化を続けるPat Methenyの音楽、「弾かない」アルバムは画期的だが、個人的にはPat Methenyの演奏を聴きたいというのが正直なところ。まぁいい。Pat Methenyは自身の世界観で音楽をどんどん進化させるのだ。さぁPat Methenyの音楽は次にどんな展開を聴かせてくれるのだろうか。興味は尽きない。

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