京大学生集会所

学生時代のほとんど全てを過ごした京大の学生集会所が、遂に、遂に、あぁ遂に取り壊されることとなったらしい。有名な吉田寮と同じ敷地にある、古くてボロい建物だが、私にとっては神聖な場所。

ちょうど、京都市内に行く用事があったので、家族で東山近衛~丸太町界隈を歩いてみた。

いきなりだが、東大路通りから学生集会所や吉田寮がある敷地に入る所の光景。ここを何度、学生時代に通ったことか。秋にはこの銀杏木が色づいて、黄金のトンネルになる。匂いもなかなか強烈であったが。

たまたまではあるが原チャリが倒れているところも、なんとも雑然としたこの場所の空気を感じさせる。

この正面奥が吉田寮。今回は寄らずに帰ってきた。学生時代にも、ほんの1、2回、興味本位で足を踏み入れただけであったので、あまりよくわからん。ひたすら埃の匂いがしたのを憶えている。

学生集会所の入口手前から、東を向く。何のビニールシート?

その奥が、我がギタークラブのBOX(部室)の窓。昔、夜中にBOXに行ったら、ドアの外の南京錠がかかったままなのに中からギターの音が聞こえた。不思議だと思いながら開錠して入ったら、某同級生が涼しい顔をしてギターを練習中。聞けば、BOXに入ろうとしたら暗くて南京錠の番号を合わせることができなかったから、仕方なくこの窓から侵入してたということであった。行動がおかしすぎる。

朝までBOXで飲んだり麻雀をしたりし、鳥の声が聞こえてきたのも、この窓からであった。秋の朝に近所のおばちゃんが銀杏を拾いに来てガサゴソやってたのも、この窓の下であった。

土日だからだろうか、この日は自転車の数が少なく感じた。いや土日ならなおさらサークル活動するんちゃうんか!学生たちよ、何しとるんや?あるいは、最近はここに集まる学生の数自体が減っているのだろうか。

そして、学生集会所の入口。あっ、手前が舗装されてる。以前は、舗装されてなかったので、雨の日などはぬかるみになってたり、ぬかるみの上に板が橋のように置かれてたりしたはず。なんか便利になってるな。

合唱団の看板の存在感が大きい。ギタークラブは入口左側に控えめに。昔から看板って、あったかいな?

この壁などは、おそらく建てられた当時のままなんやろな。古すぎる。

学生集会所に入ると、まずこの光景。すごい。全く変わってない!

「堂食」(=食堂?)って、なんで?

トイレの中は、怖くて覗かなかったが、これもまぁ変わってないんやろね。

水道水を「飲まないでください」って。これを飲もうという気には、なれへんから心配無用。

この棚はどの部のもので、中身は誰のものなのか?

入口付近、2階へ続く階段。これもやはり、学生時代から全く変わらない光景。

2階は、民族舞踊研究会やったかな。がらーんと大広間のようなフロアであった。練習が始まると、ドタバタして、1階のBOXの天井から塗装がパラパラと落ちてきたものである。

2階にはピアノがあり、2つ年上のピアニストの大井浩明氏がたまに弾いてはったような気がする。その同級生のメリ田牛也氏(仮名)も早朝に練習してはった。

ギタークラブや京都ギター連盟の練習で、たまにこの2階を使わせてもらったこともある。

今回は、下から階段を眺め、写真を撮影するだけで、2階に上がることはしなかった。特に理由はないけど。

入口を入って、東を向く。

書棚に譜面が整理されているが、これ、誰の?オケ?こんな所に置いてたら、すぐになくなるんちゃうの?奥の譜面台も然り。

このあたりの棚も、学生時代から変わってないのかもねぇ。昔は黒電話が置いてあったな。

手前の棚に架かっている黒い物体、なんか怖いぞ。

集会所の1階廊下の東の端(吉田寮側)から西を向く。

ギタークラブのBOXが入口付近だったから、学生時代はあまりそれ以上奥に入ることはなかった。この廊下の端まで来たのは、おそらく1、2回だろう。

それにしても、何とも退廃的な空気。壁も灯りも、おそらく全く変わってない。立てかけてある看板っぽいものは、何じゃ?

この画像、見てるだけで、埃っぽい香りが蘇ってくる。

この画像の左手の叡風会だけは、この日も誰かが中にいたようで、会話の声が聞こえた。あっ、でも部屋の場所が違うかな。何部かな。よくわからんわ。

右手の将棋部か囲碁部は、中を覗いてみたが、がらんとした畳部屋に扇風機が置いてあるだけで、かなり怖い雰囲気。

で、ギタークラブのBOX。

初めてこの扉からBOXに入った日のことを、今もはっきりと憶えている。人生の転落が始まった、記念すべき素晴らしい日だ。

この日は、誰もおらず、鍵を開けることができないから、BOXに入ることはできなかった。もし誰かいても、現役部員は知らんから入らんかったと思うが。

背伸びして中を覗いてみた。昔、窓際に置かれていた重厚な机が、BOXの真ん中あたりにきている。下宿していなかった頃、自宅に帰るのもめんどくさくて、この机の上に古くて汚い布団を敷いて、よく寝たもんだ。翌朝にどうしても出席しないとヤバい授業がある時なんかも、ここで寝たな。

この学生集会所、そしてギタークラブのBOX、建て替えられて、どんな感じになるのだろうか?

大学に入学した翌日くらいから入り浸り、大学院を修了して就職するまで離れることができなかった、この愛すべき学生集会所、BOX。吉田寮を含め、京都大学のカラーを凝縮したような(ホンマかいな~)この場所と香り。取り壊されるのはさみしいが、それも時代の流れだろう。ここだけは時間が止まっていることを確認できたが、いつまでも止まっていることはできないらしい。俺も前を向いて歩こう。

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