津原泰水「ブラバン」

ブラバン (新潮文庫)

1980年、吹奏楽部に入部しコントラバスを演奏した主人公。高校卒業後、四半世紀が経ってから再結成の話が持ち上がる、というストーリーの小節。なんとなく書店で見かけて、買った。私自身はブラスバンドの経験はないし、管楽器は全く演奏できないのだが、このところ大学時代のギタークラブに何度か足を運んだり、先輩や同級生や後輩のボチボチ音楽に触れているという近況を聞いたりしたことと共鳴したので、読むことにした。

40歳を過ぎてからの再結成というあたり、今の自分に重ね合わせて読んでしまった。赤字のバー経営という、トホホな感じの主人公の設定も、なんかリアリティがあってイイ。

この本、作者自身も経験者らしくてやたらと音楽や楽器について詳細な描写がある。このあたり、読者を選ぶのかもしれないが、逆に音楽好きの人間にとっては、わりと引き込まれるものがある。

派手な映画のような大きな感動があるわけではないが、地味なわりに情熱的だった青春、四半世紀を過ぎて現実が見えてきてからの音楽に対する思い、など、共感し感情移入しながら読んでしまった。

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