時間が少し経ってしまったが、1月5日に巨匠Pierre Boulezが亡くなった。90歳。そこそこの年齢だとは思っていたが、とても残念なニュースだ。
私は学生時代にBoulezの音楽を知った。当時はどちらかというと指揮者よりは作曲家としてのBoulezに興味が強く、その作品のCDをよく聴いたものだ。代表作「主なき槌」は、所属していたギタークラブの定期演奏会で、大井浩明氏の指揮で演奏された(ギターは、当然ながら、下手くそな私ではなく先輩A氏が弾いた)。
その後は、指揮者としてのBoulezにも当然ながら興味を持ち、これまた色々とCDを聴いたのだが、2003年夏には、NYのカーネギーホールの別館Zankel Hallで、Boulez自演の「主なき槌」を聴くことができた。Boulezの頭上から見下ろすような席で、色鉛筆で書き込みされたスコアを見ることができた。この名作の独特なサウンドを作曲者自身のメリハリのきいた指揮で聴けたののも感激だったし、Boulezの、地味で落ち着いたサラリーマン風の身のこなしも印象的だった。
マーラーの交響曲は、Bernstein指揮による全集も持っているが、個人的な好みでいうと、Boulez指揮のものに軍配。Boulezならではの明瞭な解釈と響きは格別だ。
音楽を創る者にとっても、音楽を聴く者にとっても、多くの遺産を残してくれたPierre Boulez。ご冥福をお祈りします。