EICを聴く

Ensemble Intercontemporainのコンサート。指揮:マティアス・ピンチャー、フルート:ソフィー・シェリエ、ピアノ:永野英樹。たまたま美術館でもらってきたTower Recordsの冊子で取り上げられていたので、迷わず観戦することにした次第。特に、ピアノの永野英樹は以前から興味があったがCDでしか聴いたことがなかったので、これは貴重な機会だと興奮。

前回EICを聴いたのは実に2003年、カーネギーホール。ブーレーズ指揮で「主なき槌」だった。あれから18年の間にブーレーズが他界したし、シュトックハウゼンなどの巨匠も世を去った。現代の音楽はどう変わっているんやろか。

会場に到着し、着席。ステージに向かって右側、2Fから見下ろす席。そういえば、カーネギーホールの時も、見下ろしたな。様々な打楽器がセッティングされたステージを見下ろして、興奮が止まらん。

ヘルムート・ラッヘンマン:『動き(硬直の前の)』 アンサンブルのための (1983/84)
ピエール・ブーレーズ:『メモリアル(…爆発的・固定的…オリジネル)』ソロ・フルートと8つの楽器のための (1985)
マーク・アンドレ:『裂け目[リス]1』 アンサンブルのための (2015~17/19)[日本初演]
ジェルジュ・リゲティ:ピアノ協奏曲 (1985~88)
マティアス・ピンチャー:『初めに[ベレシート]』 大アンサンブルのための (2013)[日本初演]

いずれも静寂と動きのコントラストが素晴らしい曲で、それを表現するEICとピンチャーの技量の凄さに舌を巻く。ラッヘンマンとピンチャーの曲は、やや長く感じたが。

リゲティのピアノ協奏曲。リゲティがアフリカ音楽から得たポリリズムやポリフォニーが現れる傑作。例えば第一楽章はピアノの右手パートが調号なし、左手が#5つで、既によくわからんのだが、そこにポリリズムという要素も加わり、ますます複雑な音楽が紡ぎだされる。しかし第五楽章まで一貫して音響美を湛える素晴らしい作品。ピアノ協奏曲といっても、編成は十数名と小さめで、ピアノとのバランスも良いはずだったのだが、結果的にはピアノの音が埋没してしまった印象で、せっかくの永野英樹のピアノをあまり楽しむことができなかった。これは私の席の位置が原因なのかもしれんが、やや残念。

最近こういった現代音楽をあまり聴いていなかったせいか、耳や脳を活性化するのに時間がかかる気がする。今回の演奏、素晴らしい音響世界を聴くことができたが、もう少し連続して色々と聴きたいところ。せっかくの機会なので、他の日の公演も聴きたいが、都合がつかないのでひとまず今回はこの一晩だけ。

これを機に、学生時代に買いまくった現代音楽のCDを取り出して、聴き直してみよっと。

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