生きたグルーヴでギターが弾ける本

ギター・マガジン 生きたグルーヴでギターが弾ける本 (CD付き)

トモ藤田氏の最近の本。ジャズに特化した本ではないが、グルーヴはジャンルを問わない重要なテーマだし、特に私にとっては大きな課題なので、早速読んでみた。

付属のCDを電車の中で聴いたり、CDを聴きながら本を読んだり、取り組みやすい本である。内容についても、ギタリストが陥りやすいパターン(フレットを形として解釈し、やたらと時間を音で埋めまくるだけでグルーヴしない、とか)などを挙げながら、具体的なグルーヴを生み出す練習法を紹介してくれている。

練習法自体は、非常にシンプルでわかりやすいので、面白そうなものからやってみようと思う。楽器を持たない練習法なども、興味深い。この本も、折に触れて読み返したいものである。

Jazz Guitar Book Vol.27

jazz guitar book[ジャズ・ギター・ブック] Vol.27 (シンコー・ミュージックMOOK)

Jazz Guitar Book Vol.27は、なんとビッグバンドにおけるソロギター。あまり取り上げられることがない、ユニークなテーマだと思う。きっかけは、Kurt Rosenwinkelの最近のアルバム、あとJesse Van Rullerの3年ほど前のアルバムあたりでしょうね。実際、この2名へのインタビューも取り上げられているし、これらアルバムを聴いたことがない私も、記事を読んでるうちに、聴きたくなってきた。

私の師匠・菅野義孝氏の「目からウロコ」シリーズは「実践編」に突入。「酒とバラの日々」を取り上げ、これまでに連載されてきたソロ、バッキング(コンピング)、ハーモナイズの例が紹介されており、勉強になる。これまでに紹介されてきた「目からウロコ」な考え方が適用されており、復習になるとともに、非常にシンプルなアイデアによってジャズが演奏できるのだということの証明にもなっている。

あと、廣木光一氏の連載が新たに始まった。この人については、以前、イオンの中古CDセールでたまたま見つけて、何となく(失礼)入手した「Tango Improvisado」が予想を大きく超えて素晴らしく、感銘を受けたことから、非常に興味があった。今後の連載が楽しみである。

大津ジャズフェスティバル

2010年10月16日(土)~17日(日)、滋賀県大津市にて、大津ジャズフェスティバルが開催されたので家族で行ってみた。

ジャズバーや旧公会堂といった場所のほか、商店街の中でもあちこちでジャズやってる!

Baar Musica tioにてっぺいさんが出演される予定だったので行ってみたところ、予定変更でギターなしのクインテットとなっていた。しかし、おそらくアマチュアの人々だと思うが、うまいし、楽しい演奏。娘もえらく楽しんでいた。

写真は西友の前(商店街側)の演奏風景。

街中からジャズが聞こえる。皆、楽しんで聴き入っている。ボランティアなどが中心となってこれが実現しているのは、感動的ですらある。

矢堀孝一のギター「理論」読本

矢堀孝一のギター「理論」読本

ジャズギタリスト矢堀孝一氏の本。理論とどのように付き合ってゆくのか、について示唆してくれる良書であると思う。

理論そのものを説明する本ではないため、この本を読んでも理論の体系的理解はできないが、文中で「理論書の中で最低限、おさえておくべき項目」が説明されているので、これから理論を勉強する場合でも参考になる。また、既に理論をいろいろ学んだ者にとっても、「実は最重要なのはこれとこれだけだったのね」という理解ができるかもしれない。

また、「理論」の位置づけを説明するために理論以外のテーマについても触れられており、例えば「グルーヴ」の考え方とか、参考になる。

あと、ABC式スケールというのも、興味深い。はっきり言って、世の中にたくさんある教則本に載っているスケールのダイアグラムを見ても、「こんなもん、どうやって憶えるんや?」という気がするのだが、本書で紹介されているABC式という考え方を取り入れれば、わりと頭の中が整理できるかもしれない。ただし、メジャースケール以外については(メジャースケールであっても、いくつかのポジションについては)、多少複雑な考え方をしなければならないので、ABC式は「参考として」あるいは「指板上のスケール音の配置のイメージの補助として」理解しておくという程度が良いのかもしれない。

ジャズの壁を超える100のアイディア

ジャズの壁を超える100のアイディア (jazz guitar book Presents)

ジャズギタリスト布川俊樹氏がこれまでに自身のサイトで続けてこられたQ&Aや、Jazz Guitar Bookに連載されたエッセイ等をもとにまとめられた本。すぐに買って読んだのだが、blog書くのが遅くなってしまった。

ジャズに対するアプローチ、考え方、心構えなどが述べられており、非常に勉強になる本。ジャズを志す者ならば、一読すべきであろう。私は座右の書として、折に触れて読み返している。

また、ギターに特化した技術や練習法についても書かれているので、ジャズギターを練習する者にとっては、まるごと一冊、しゃぶりつくせる本だ。

布川氏の書籍では、「ジャズギターの金字塔」シリーズなども、ユニークな内容となっており面白いが、また別の機会に紹介したい。

野田純子、小出憲ライブ@カフェタマリバ

野田純子(vo)、小出憲(gt)師匠のライブ。2010年9月24日(金)19:00~、カフェ タマリバにて。

カフェ タマリバは新大阪駅近くのライブスペース。少し小さめで、内装すべてが新しく綺麗で、めちゃくちゃ感じの良い空間。初めて行ったのだが、アットホームな雰囲気で、すぐにくつろいでしまった。

1Fはカフェ&バー。ビールを飲みながら小出師匠や野田さんとしゃべったりして19時頃まで過ごした後、「じゃ、上がりましょうか」とのことで、2Fへ。他のお客さんも一緒に2Fへ。

2Fがライブ会場なのだが、これまたサロンコンサート風のイイ感じのスペース。演奏者の息遣いが直接伝わってくる、贅沢な距離。

さて、ライブはギターもヴォーカルも完全生音。1stステージ、まずは小出師匠のギターソロでOver the Rainbow。次に野田さんが入って、Satin Dollに始まり、ボサノヴァを含むスタンダード中心の演奏。途中でアカペラもあり。

とにかく聴衆との距離が近く、独特の和みを感じつつ、音楽を楽しむことができた。

店を出て、この携帯電話でこの写真を撮影していたら、客の一人のおっちゃんが(おそらく仕事帰りの?)軽トラックでブーンと帰って行ったのが、地域密着って感じで、なんか良かった。私も、また来たいと感じた場所だ。

ジャムセッション@ヴィンセント

勇気を出して初めての飛び込みジャムセッションに行ってみるか!ということで、8月14日、京都のヴィンセントに行ってみた。ホストは、寺井豊(g)、矢野克宏(b)、山口幸男(ds)。

やっぱ開店時間にはきっちり入らないと、余裕かましてるみたいでイカンやろな、とオープン時刻の7時きっかりに店に入った。入ってみると、ドラムスの山口氏が既にくつろいでおられる様子。私の姿を見て「まだ(他のメンバが)来てないので、ちょっと待ってくださいね」と声をかけてくださった。「はい!」と元気よく返事(が大事だろうと思って、実行)。

おや、開店ちょうどに入ったのに、既にテーブル席に座っている夫婦と思しき若い男女。しかも、足元にはギターケース。やはりギタープレーヤーが多いのか。とか思いながら私も席に着いた。車で来たのでアルコールは飲めず、アイスコーヒーを注文し、緊張しながら飲みつつ、くつろいだ(どっちやねん)。

店のマスターがその夫婦らしき男女に「どちらから来られたんですか」と声をかけ、「大阪です」と答えた、その声。おっ、と思ってよくよく見ると、私がジャズギターの手ほどきを受けた師匠、小出憲氏ではないか!違うかな、いや、間違いない!「すみません、間違いでしたら恐縮ですが、小出さんではないですか?」「そうですけど」「以前、ギター習ってましたサルです」「うぉぉぉー」と、奇跡の再会を果たしたのであった。お互いの近況などを話して、盛り上がった。

ところで、ジャムセッションって、こんな正統派のプロが来はるなんて、聞いとらんぞー!初めての飛び込みジャムセッションで、心細かったのが、余計に緊張してしまうのか、逆に心強いのか、自分でもわからんわ(苦笑)!

そうしているうちに、手ぶらで登場した数名の人々(ベースとヴォーカルだった)、そしてギターをかついで来た人。ホストがトリオで1曲演奏した後、寺井氏が「ほな、やりましょか」と一言。初めから来ていた小出氏と私のどちらか、という指名だが、まずは小出先生がトップバッターとなった。1曲目はThere will never be another you。うぉっ、この曲、準備してきたんやけど、演られてもーた!それにしても、師匠、ウマ過ぎやわー、このグルーヴ、ドライブ感、たまらんわー、とかいってるうちに、3曲が終わり、私の出番となった。

まずは、Blue Bossa。なんとか弾き終え、次は4ビートでFly me to the moon。ソロの後、8barsが終わり、4barsになるはずだったが、なんか勘違いしてそのまま8barsを続けてしまった。あと、「エンディングもできるようになっといた方がええな」との寺井氏のお言葉。ハイ、練習します。

その後も、ヴォーカルや、これまためちゃ巧いギタリストなどの演奏が楽しく進み、「これは、もうあと1曲くらい弾かな、損やな」と思ってたら指名が来たので、Straight, no chaserを演奏することにした。テンポ速いわー、なんとか指がついていってるけどー。しかーし、私のソロ、寺井氏のソロの後のベース(セッション参加者)ソロで、見失ってしまった!結局、4barsに入ったが、うまく入れず、何度もベースはサインを送ってくれていたのだが、どこなのかがわからずに脱落。最後の最後でとりあえずF Blues Scaleのフレーズを弾いた後、寺井氏のフレーズを聞いてやっと復帰。というか、もうテーマだった。しかも、私が走ったのかよくわからんのだが、テーマの最後は指がもつれた!(後でベースのお兄さんに謝っておいた!)

失敗もしたが、非常に楽しかった。巨匠・寺井氏をはじめとするプレーヤーの方々と一緒に演奏できるし、勉強にはなるし、これは、修業しなおして(ん、先日も同じようなことを言ったな)、また来よう!忘れないように、気付いた点を記す:

・周囲をもっとちゃんと聴く

・音量をもっと研究する

・コンピングをもっと練習する

・ロストしない

以上!

竹田一彦&菅野義孝ライブ@マイルストーン

7月17日、滋賀県大津市のマイルストーンでの、竹田一彦&菅野義孝ライブ。関西の重鎮・竹田氏と関東で活躍中の俊英・菅野氏、実は私は両氏の門下生であり、感慨深いライブとなった。

19時の開演までには、小規模な店にぎっしり並べられた椅子が一杯になる盛況。昨秋に始まったこのデュオの人気がよくわかる。

さて、ライブは終始和やかなムードで進んだ。1曲目のIt could happen to you以外は全く曲を決めずにスタートし、その場で「次、何しよ?」と決めてゆくスタイル。ジャズらしいハプニングあり、笑いありで楽しい。

竹田先生は、一音一音に集中力と魂が込められた素晴らしい演奏。ゴツゴツとした重みのある音、それでいて限りなく美しいレガート。ギターという楽器は、こうやって弾くのか!とあらためて学んでしまった。菅野先生は、これまた気持ち良くスイングするギター。自慢のアンプで、ジャズらしい気持ち良いサウンドを聴かせた。
写真は、2ndステージ前にコード進行を知らない曲のリクエストをもらって、竹田氏に指導を受けている菅野氏。

打ち上げにも参加させていただいたが、竹田先生の、米国の巨匠達との共演の話など、貴重な話を一同で聴かせていただくことができた。我々がレコードや本でしか接する機会のないジャズジャイアンツと、現場で接してきた話であり、鳥肌ものであった。本人は「長く生きてきただけや」とさらっと言われるのだが。

とにかく、素晴らしく貴重な体験をしてしまった一日であった。

小島のり子トリオ@ デサフィナード

小島のり子トリオのツアーが、九州などをまわって再び関西に。和歌山のデサフィナードでのライブが6/15(火)にあったので、仕事の後、大急ぎで駆けつけた。

メンバは、小島のり子(fl)、澁谷盛良(b)、田口悌治(g)。

ギリギリで会場に到着したら、1曲目(だと思う)のFly me to the moonが始まるところであった。ちょうど自分も最近練習中なので、この曲を鼻歌で歌いながら来たところだった。

あとは、オリジナルやスタンダードを織り交ぜた素晴らしい内容であったが、特にTom JobimのPortrait in Black and Whiteの演奏には、もうグッときてしまった。ゾクゾクするようなリズム、メロディー、ハーモニー。もうたまらん。月並みな言い方だが、やはり音楽の力は偉大だ。

田口先生とはゆっくりお話しできたが、小島さんと澁谷さんとはご挨拶もそこそこで、お話しできず、残念かつ失礼してしまった。終電の都合で、22時頃には会場を後にせざるを得なかった。

小島のり子トリオ@ ラグタイム



フルートの小島のり子トリオのツアー。メンバーは、小島のり子(fl)、澁谷盛良(b)、そして私の師匠・田口悌治(g)。ツアー初日がここ大阪ラグタイム、6月2日であった。

フルートでジャズというのが、これホンマええ感じ。小島さんはまるで体の一部であるかのように楽器を操られる(プロだから当然か!?)。ほどよい潤いと乾いた風が共存するような心地好いサウンドで、躍動感溢れる演奏だった。
澁谷さんのベースは、明るく、とても存在感のあるサウンド。音量のバランスのおかげかもしれないが、ベースがものすごく明快で、トリオというフォーマットにおけるこの楽器のポジションや魅力を、今更ながら強く認識してしまった。
ギターの田口先生は、ちょっと聴いた瞬間から、「キター、これこれ」と感じる、私にとって馴染みのあるプレイ。ギブソン175とガットギターを持ち替えながら、たたみかけるようなフレーズなどでグルーウ゛感溢れる演奏をされた。
さて、最終ステージはセッションもされるとのことで、私も勇気を振り絞って参加させていただいた。一般参加者はなんと私だけで、なんとも贅沢な環境。なのに!なのに!である。あろうことか、There will never be another youで、頭の中が真っ白になり、ロストしてしまった!ベースを聴きつつ復帰しようとしたが、どうにもなりそうもなく、声がけをいただいてやっと戻って来れた感じ。2曲目「枯葉」は、なんとか形としては弾ききった感じで、途中の8barsあたりから「お、調子出てきたぞ、なんかええんちゃう」(遅いわ!)とも感じたりしつつ演奏させていただいた。
聴衆の皆さんやトリオの皆さんには、多大なるご迷惑をおかけしました。しかしトリオの皆さんには温かい言葉をいただき、お客さんの一人には「素敵な『枯葉』をありがとう」と声をかけていただき、救われました。また一から練習します!