高槻ジャズストリートで大西順子トリオ

高槻ジャズストリートに行ってみた。実は、関西に住んでいながら、この高槻ジャズに行くのはこれが初めて。今年は、公式サイトを見てたら大西順子の名前が出ていたので、「これは、行かなあかんやろ!」ってことになった次第。

JR高槻駅と阪急高槻市駅の周辺の50以上の会場で並行して繰り広げられるジャズフェスティバル。ジャズフェスは、完全なリスナーとして歩き回るのは久々だが、やっぱりこの雰囲気は、とても楽しい。昼間っから、そこらじゅうでビール飲んでる人がいるし、肉を焼くいい匂いが漂ってくる。

さて、昼間の演奏を少し聴いたり、近所の居酒屋で飲み食いをしたりしてから、会場の高槻芸術劇場へ。前のステージの演奏の最後の方でホールに入り、座席を確保。

大西順子を生で聴くのは、これが初めて。この人のアルバムは、1998年頃に「Play, Piano, Play」を手に入れて聴きまくったり、これ以外にも数枚のアルバムを持っていたり、図書館でビデオを借りて見たこともあった。しばらく表舞台から姿を消した後、復帰するも、数年で引退宣言をしてしまい、結局、生で聴く機会を逸してしまっていた。

それがなんと、この高槻ジャズで、しかも無料で聴けるって、どういうこっちゃ!ということになったのだが、とにかく、ライヴが始まった。

何とも地味な感じでステージに登場、そのまま椅子に座ってメンバと言葉を交わした後、マイクを握って聴衆に向かい、「あ、どうも大西です」。隣の大西さんが回覧板持ってきたような挨拶だな。司会者が紹介した新アルバムのタイトルか何かが間違ってたとのことで、訂正の紹介。そして演奏開始。

一曲目、How High The Moon。途中から、「これは、よく聴いたフレーズだ」と思い当たること多数。大西節というのだろうか、手癖というのだろうか。そして、最後にテーマに戻る(戻るというか、最初にテーマ弾いてない)時の大興奮!このアレンジも、この「Play, Piano, Play」と同じだ。でも、興奮してしまうのだ。今まで、アルバムを聴きながら「Yeah!」と拍手していた部分を、遂に生で拍手できた次第。
プレイ・ピアノ・プレイ

一曲目の後、大西順子、何か話し始めたが、鳴り止まぬ拍手に苦笑、「やっぱり大阪はすごいですね」。メンバー(山田玲(dr)、米木康志(ba))紹介の後、新アルバム「Tea Times」からTea Time No.1とNo.2など。

パワフルなタッチ、シャープなサウンドは、まさに大西順子そのものだ。後ろの方の席についたのだが、それでもはっきりと指の動きがよく見える。本人曰く、これは正しい奏法により、手にうまく筋力がついており、指が独立して大きく動くことができるようになったためらしい。うーん、素晴らしい。単に力任せに鍵盤を叩いているのではないのだ。実際、ピアノのサウンドが説得力を持って我々の耳に入ってくるのだから、表現と技術がきっちりと対応しているわけだ。

スケジュール通りの21:00きっかりに演奏を終えるあたり、これまた硬派なプロの仕事だ。

これから、ますます活動を活発化されることに期待。

Abdullah Ibrahimソロピアノコンサート

Abdullah Ibrahimのソロピアノコンサート。2015年10月10日、会場は京都の上賀茂神社。京都のジャズ喫茶Lush Life主催で、ボランティアスタッフ等で運営されているライブである。

アフリカン・ピアノ

実はこのピアニストのことは、あまり知らなかった。1934年、南アフリカのケープタウン生まれ。1960年代にヨーロッパに渡り、Duke Ellingtonに見いだされ、アルバム”African Piano”でジャズ界に確固たる地位を築いたというプレーヤー。

そろそろ日が落ちる17時過ぎに地下鉄北大路駅に到着、そこから鴨川の河川敷をてくてく歩くこと約20分、上賀茂神社に着いた。

考えてみると、私、上賀茂神社に来たのは初めてである。下鴨神社とは、少し違った雰囲気であるが、いずれにしても落ち着いて清らかな気持ちになる空間だ。

今回のコンサート会場は、「庁の舎」(ちょうのや)という建物の中。建立当時は、厨房として使われていた建物らしい。スタッフが懐中電灯で客の足元を照らしてくれる。

受付を済ませ、建物の中に入る。長い建物の中ほどにスタインウェイ。客先は座布団だ。なかなか、いい感じ。しかも、外のコオロギか何かの声が聞こえてきて、涼しい秋の夕暮れを演出する。

さて、開演予定時刻を少し過ぎて、Abdullah Ibrahimが登場。長身で、足取りはゆっくり。ピアノにたどり着くまでに、譜面台か何かについて注文をつけている模様。セッティングが完了し、ピアノの場所まで着くやいなや、椅子に座ってすぐに演奏開始。ソロピアノコンサートだから、当然ながら、ピアノソロの演奏を聴かせる。

Keith Jarrett風、ECM風のサウンド。ノンストップで(途中、曲想が変わる「間」はあったが)40分くらいの演奏で、テンポの変化はあまりなかったのだが、不思議なことに、全く退屈しない。迷走するかのような音楽なのだが、ひたすら音に集中して聴いてしまうのだ。不思議な魅力だ。スタンダード曲をモチーフにしているように聴こえたのだが、よくわからない。

前半の長大な1曲を聴き終え、30分間の休憩。長い休憩でんな。建物の外に出て、コーヒーを飲みながらぼんやり休憩。

会場に戻り、後半の演奏もまた、長大な1曲。前半よりも時間は長かったかな。前日が81歳の誕生日だったとのことで、皆でハッピーバスデイを歌い、Lush Lifeマスターから花束贈呈。アンコール1曲で、コンサート終了。

間近で聴くピアノのサウンドは、コンサートホールとは異なる格別な体験であり、また、この演奏者のスタイルと上賀茂神社というのがちょうど良いコンビネーションで、心地よく聴けたコンサートであった。

STEVE GADD BANDライヴ

STEVE GADD BANDのライヴに行ってきた。2015年9月8日、場所は大阪CLUB QUATTRO。

Steve Gaddは、NY州Rochester出身、Rochester大学Eastman School of Musicで学んだという経歴だから、かの地に2年間住んでEastman Schoolでジャズギターを習った私としては、勝手に大先輩として親近感を抱いているのだ。

Eastman Schoolでの私のジャズギターの師匠Bob Sneider氏もやはりSteve Gaddとは親しいってことだし、更にはLarry Goldingsとも親しいとのこと。

遅ればせながら、8月末にチケットを購入し、このバンドのCDも入手して予習した。メンバーは次の通り。

  • Steve Gadd (dr)
  • Michael Landau (gt)
  • Larry Goldings (org, key)
  • Walt Fowler (tr)
  • Jimmy Johnson (ba)

さて、ライヴ当日。会社を定時に退出し、CLUB QUATTROへ直行。「全席自由席」とのことだから、早めに行こうと思ったのだ。ところが、会場の受付に行ってみたら、「チケットに記載の整理番号順に案内します。会場までは時間がありますので、あとで来てください」というので、いったん退散し、泉の広場近くの喫茶店へ。コーヒーを飲みながら、同じライヴを聴きに来る予定のギター野本さんにメッセージを出して、読みかけのジャズ本を読むという優雅な時間を過ごす。そうしているうちに、野本さんも喫茶店に合流。いつものようにジャズ談義で盛り上がって、開場時間頃に再び会場へ。

受付に到着したら、今度はもう、長蛇の列。10Fの受付から階段に沿って行列が5Fまでつながっとるがな。なんじゃこれ。そして、整理番号順に案内と聞いてたのに、「1番から190番までのお客様は入ってください」とのおおざっぱな案内。行列は整理番号順じゃなくてきた順に並んでるし、誰が何番なのかわからんし、結局、何のための整理番号かさっぱりわからん。もっとちゃんとシステマティックにやってほしいよな、みたいな声があがる中、ようやく受付を通過してホール入り。カウンター近くの、わりとステージがよく見える席に着く。

ビールを飲みつつ、開演を待って、ついにバンドメンバー入場。セットリストはこんな感じであった。Steve Gaddによる曲名紹介、Rochester訛を感じて、なんか嬉しい。特に「Elegant」の発音に訛を感じたな。

  1. The Windup
  2. The Long Way Home
  3. Green Foam
  4. Desu
  5. Africa
  6. Duke’s Anthem
  7. Way Back Home
  8. Ask Me
  9. Elegant Square
  10. Sly Boots
  11. (アンコール)不明

CD聴いたときから思っていたのだが、このバンドは、もうジャズというジャンルの範疇なのかは、よくわからん。まぁそんなことはどうでもよくて、バンドとしてのサウンドのバランスとかがとても心地よい。もちろん全てのメンバーが一流だからそれぞれの個人技は素晴らしいはずなのだが、名人技を順番に聴かせてゆくスタイルではなく、アンサンブルとしての音楽を聴かせるバンド、という印象。

終演後、サイン会がセッティングされていたので、これまた長いこと行列で待って、持参したCDにサインをもらった。全メンバーと会話したのだが、全員が、すっごく感じのいい人々。さっきまでの演奏中の真剣な顔つきとは打って変わって、普通のアメリカ人のおっちゃん達って感じ。Walt Fowlerはにこやか。Jimmy Johnsonは挨拶しながら握手したとたんに突然「君、楽器やるのか?」と聞いてきた。「ええ、少し」「何を弾くの?」「ジャズギターを」「そうか!握手した時の手の構えが、楽器を弾く感じだと思ったぜ」とのこと。ホンマにそうなの?「いや、自分でもそんなこと知らんかったわー」って言ってるうちに、Jimmyが隣のギターMichael Landauに「彼、ギター弾くんやって」と告げて、Michaelがこれまたすっごく感じの良い笑顔で挨拶。Larry Goldingsには師匠Bob Sneiderの話をしたら「よく知ってるよ。彼の兄さんのJohnもよく知ってる。一緒に演奏してるよ」とのこと。最後にSteve Gadd。やはりBob Sneiderの話をして、「Rochesterに2年間、住んでたんやで」と話すと、「(Rochesterは)寒いよねー」って反応。「こいつ、Bob Sneider知ってるらしいぞ」と隣のLarry Goldingsに声かけてた。演奏を聴いても、近くで会って話しても、とても70歳とは思えない若さを感じる。

ちょっとした手違いがあり、サインはジャケットとブックレットの2つに分かれてしまった。どっちか1つに5人のサインを揃えるでしょ、普通。Steve GaddとMichael Landauのサインは両方に書かれた。うーん、ま、いいか。

またギター野本さんと電車で音楽談義で盛り上がりながら帰宅し、またビール飲んで寝た。

翌日も、復習と称して通勤中にこのCDを鑑賞。うーん、やはり、どこかにありそうでなさそうな、ユニークなサウンドだ。

ちなみに、このバンドメンバーでの録音は2枚あり、この日の演奏曲は全てこの2枚に収録されたもの。ジャケットは1作目のGadditudeの方がいいな。

ガッドの流儀

70 ストロング

Pat Metheny Unity Group

Pat MethenyのUnity Groupのライブに行ってきた!10月12日、日本公演最終日、新神戸オリエンタル劇場。日本公演があるのは知っていたし、ファンが良い席を入手しようと必死になっているのも知っていたが、はじめは行くつもりはなかった。でも、音楽仲間の一人がチケットを入手したけど都合が悪くなったとのことで、チケットを買い取った瞬間から、なんかスイッチが入ってしまい、ワクワクし始めていた。なんでかというと、そのチケット、最前列ほとんどど真ん中だから。そらもう、興奮せえへんはずがない。

そしてようやく、ライブ当日を迎えることとなった。神戸はちょっとだけ遠いのよね。兵庫県出身の私だが、神戸はあまり馴染みがない。電車を乗り継いで、新神戸に到着。駅直結の劇場だから、便利だ。2Fの劇場入り口に着いたら、ぼちぼち行列ができ始めていた。座席指定やからどうでもいいが、とりあえず並ぶ。すぐに開場時刻となり、前進。

グッズ販売コーナーでは、やたらTシャツが種類豊富。以前は何かあればすぐにTシャツ買ってたけど、たまっていく一方なので、やめておこう。欲しいグッズはないので、パス。自分の座席に向かう。

新神戸オリエンタル劇場って、初めて来たが、すごく素敵なホールだ。座席数が多すぎず、奥行きはわりと短くて、2階と3階のバルコニー席も見やすそう。って周囲を見ながら、最前列の自分の席に着く。手を伸ばせばステージに届くくらい(実際は、もう少し距離がある)。もう、始まる前から興奮。ファンがステージのところまで見に来ては、係員に「自分の席でお待ちください」と追い返されている。

ステージ中央、私の目の前にギターが立ててある。後でわかったことだが、これはChris Potterが演奏するアコギ。他にも、Chris Potterの管楽器が立ててセッティングしてある。チケット予約をしてくださった友人の友人Sさんも別のお友達と一緒に来られて、挨拶。んー、Pat Methenyつながりで友達が増えていくなぁ!

時間になり、Pat Metheny登場。いつものニコニコ笑顔。ピカソギターで演奏開始。続けて、Unity Band(この時点ではUnity Groupではない)メンバー登場。Chris Potter、Antonio Sanchez、Ben Williams。Unity Bandアルバム収録の”Come and See”、”Roofdogs”を演奏。続けて、古いアルバムの曲を数曲。”Song X”から”Police People”、”80/81″から”Folk Song No.1″。もう、目の前であのすごいプレイをやられて、ホンマ圧倒された。2003年に米国でトリオのライブは観たが、あの時はわりと後ろの方の座席だった。今回は、泣く子も黙る最斬列だから、もう、ひれ伏すしかない。

Pat Methenyによるメンバー紹介の後、「ここから先は、Unity BandからUnity Groupに変わっちゃうでぇ」というコメントでJulio Carmassi登場。アルバム”KIN”のタイトルナンバー”KIN(<–>)”を演奏。その後も、KIN収録曲を演奏。途中、各メンバーとのデュオを続けて披露。Ben Williamsとの”How Insensitive”など。美しすぎる。

アンコールは2曲。拍手は鳴り止まなかったが、2曲で終りであった。しかし2時間半演奏し続けたPat Methenyには脱帽。ほとんど休む間もなく、このテンションで演奏し続けるのだから、プロとしての使命感もあるだろうけど、ひたすら音楽が好きなんだろうな、と思う。この天才の頭の中では、一体、音楽はどのように鳴っているのだろうか?

この感動の余韻はしばらく続きそうだ。

Kin

Peter Bernstein & Russell Malone

Peter Bernstein & Russell Maloneのデュオを聴きに行った。会場は大阪中之島のRed&Blue。Russell Maloneは、10年前にRochester International Jazz Festivalで比較的大きなKilbourn Hallで聴いたことがあっただけで、間近で聴くのは初めて。Peter Bernsteinは生で聴くのは初めて。

日中は、朝に娘の運動会を観に行き、昼は帰宅し、午後に再び運動会を観に行くということをして、さて中之島へ。

開演の80分ほど前に会場入りしたが、既に最前列は一杯。ギター仲間のてっぺいさん、野本さんともに最前列に陣取っている。私は二列目に座り、ワインを飲みつつ開演を待つ。ふと横を向いたら、ギタリスト山田忍さん発見。実はウェブサイトつながりで10年以上前から交流はしていたものの、対面するのは初めて。というか先方は私の顔など知らないので、こちらからご挨拶。こんなところで対面するとは、ホンマにびっくり。

さて、時間になり、巨匠二人が登場。素晴らしい演奏を展開。二人はそれぞれ個性を持つギタリストで、絶妙なコンビネーションで美しく融合する音楽を聴かせる。スタンダードやBe-Bopチューンなどを織り交ぜ、それぞれのソロも挟みながらライブが進んでゆく。Russell Maloneがソロで「涙そうそう」を弾いたのにはビックリ。美しい。2ndステージでのFly Me To The Moonなんかも、スローな3拍子で、ため息をついてしまいそうなくらいに美しい。

途中、Russell Maloneのソロ演奏で、マイクを顔に近づけてるし、どういうことかと思ったら、なんとヴォーカルで”I’m In The Mood For Love”。これがまた、めっちゃいい。ええ声。Russell Maloneが我々聴衆に”Do you like this combination?”との問いかけ。もちろん皆、拍手喝采で回答。

M.C.は、Russell Maloneが「My name is Kazumi Watanabe!」とわけわからんジョークを言ったりして、陽気な感じ。Peter Bernsteinは笑いをとらない。関西ではボケは大事ですぞ!

Solo Guitar Live at Smalls

ライブ終了後は、持参したPeter Bernsteinの”SOLO”にサインをもらった。なぜかRussell MaloneもそのCDにサインしてくれたが、自分のCDは持って来んのかい!売り切れたのかな?

実はPeter BernsteinもRussell Maloneも私の師匠Bob Sneiderと親しいってことなので、サインもらいながら会話をした。Peter Bernsteinが”You went to Eastman !?”と言うので、慌てて「いやワタクシはアマチュアで、Community Education Divisionのプログラムに行ってただけですわー」と回答。Russell Maloneも喜んでくれて”What’s your name?”って聞いてくれたけど、私の名前など、たぶんすぐに忘れたやろな。一緒に写真も撮ってもらった。素晴らしい思い出になるライブであった!

寺崎純&野本千春デュオライブ

寺崎純&野本千春デュオライブを聴きに行った。

野本さんは、最近トリオを組んで一緒に演奏させてもらっている仲間。寺崎氏は、言わずと知れた、京都を代表する巨匠ピアニスト。

会場は、京都の「てぃんがーら」。学生時代に住んでいた下宿から、少し北上したあたり。よく自転車でぶらぶらしたエリアだ。

この店は、京都の地ビール「一乗寺ブリュワリー」直営のビアダイニングとのこと。「てぃんがーら」とは沖縄の言葉で「天の川」のことだそうで、店の料理は沖縄のものが多い。

さて、実は妻が以前、寺崎氏にジャズピアノを師事していたこともあり、今回、家族でこのライブを聴きに行くことにした。

開演少し前に店に到着したら、既に席はだいぶ埋まっていた。飲み物を注文して、家族でカウンターに着席。ピアノのすぐ横で、ピアニストの手元が間近で観ることができる場所。妻は寺崎氏に挨拶したりしている。

せっかくの地ビールの店だが、車で来ているので飲めない。めっちゃ悔しい。沖縄料理も食べたいところだが、ビール飲めないと、ちょっとねぇ。ということで、アイスコーヒー飲みながら聴くことに。

Road Songから始まり、スタンダード中心のプログラム。デュオという編成ならではの対話風のセッションで楽しい。お互いに相手の演奏にフィットさせてゆく様が、心地よい。音量もバランス良く、素敵な店内の様子とも相まって、気持ちの良い時間を過ごすことができた。ピアノとギターはよく、音がぶつかるみたいな話があるが、このライブではそんなことは全く感じなかった。相互が無駄な音を弾かないから、というのもあるだろうし、野本氏のギターの音色がピアノの音色とぶつからないから、というのも要因かな。

満員御礼で、途中から入ってきたお客さんは、結局、入れなかったのかな。立ち見だったのかな。盛況であった。

澁谷盛良トリオwith小島のり子 at Yoshu Hall

澁谷盛良トリオwith小島のり子「春のジャズコンサート」、2014年3月23日(日)、Yoshu Hall(大阪)にて。

メンバーは澁谷盛良(ba)、矢藤亜沙巳(pf)、田村陽介(ds)、小島のり子(fl)。澁谷さんと小島さんは、ギター田口悌治師匠とともに小島のり子トリオとしてツアーで大阪に来られる際によく聴きに行くのだが、今回は澁谷盛良トリオとして来阪。

Yoshu Hallには初めて行ったのだが、何とも雰囲気の良いホールだ。木の香りが心地よいし、サイズがちょうど良くて、理想的な会場。飲み物が用意されていたので、それをもらって中に入る。BGMとしてCharlie Haden & Pat MethenyのBeyond The Missouri Skyが流れている。これまたええ感じ。

時間になって、メンバーが入場。澁谷氏の挨拶に続けて、演奏開始。スタンダード中心で、数曲はメンバーのオリジナル。

全ての楽器のバランスがとても良く、気持ちいい。ベースは重厚だが明瞭なサウンドでブンブン唸り、朗々と歌う。ピアノはとても滑らかで優しく、しかしダイナミック。フルートは潤いのある音色でグルーヴを生み出す。ドラムは出しゃばり過ぎずかっちりと刻む。大人のジャズだが、決して飽きがこない音楽だ。実際、2ステージ(休憩を含んで約2時間)があっという間であった。余計な緊張感がなくて、リラックスして聴ける演奏、理想的な音楽だ。会場の聴衆の表情も一様に、和やかであったのが非常に印象的であった。

澁谷さんがMCっていうのが、なんか意外な感じ。いつも大阪や和歌山で聴くのは小島のり子トリオでMCが小島さんだから。

終演後、澁谷さんと小島さんと少し話した。いつもセッションで迷惑をかけた後に会話をするから、あまりまともな心境で話せないのだが、今回はゆっくり話せた(笑)。夏には再び関西でライブとのこと。今から楽しみだ。

LUSH LIFE

菅野義孝&荒玉哲郎ライブ@pick up

菅野義孝師匠の最新アルバムの発売記念ツアー、2014年2月26日、京都は祇園のpick upにて。CDではベース粟谷巧とのデュオだが、このライブではベースは荒玉哲郎

このCD、ギター+ベースという小編成ながら、ものすごく雄弁でスウィングしまくり、心地よいサウンドを生み出しているので、今回のライブも非常に楽しみにしながら会場に向かった。

JAZZ GUITAR 2 Live at MONTGOMERY LAND

会場のpick upに入ったら、やはり滋賀から菅野師匠の生徒Tさんが既にカウンターのステージかぶりつきの位置を陣取っている。菅野師匠もこちらに気付かれて、挨拶などをしてカウンターのTさんの隣に座ってビールを注文。

ライブは酒バラに始まり、Wave~Take Five、Alone Togetherなどなど、いつものようにスタンダード中心。ギターはオールドの175でぬくもりと輝きを両立させる素晴らしいサウンドを奏でる。ベースはこれまた150年前の楽器とのことで、生音で演奏。安定したサウンドで朗々と歌う。ベースソロも目を見張るテクニックで華麗にキメる。

ギター+ベースといえば、Jim Hall & Ron CarterのAlone Togetherがすぐに思い浮かぶし、私としては一つの理想形なのだが、今回のデュオ(あるいは粟谷巧とのCD)はこの名盤とは全く異なる方向性で、これまた一つの理想的な演奏を聴かせる。Jim Hall & Ron Carterが水墨画だとすると、菅野デュオは明るくカラフルな絵画を彷彿させる。どちらのデュオも限りなく雄弁だ。

会場が少し寒かったので、焼酎のお湯割りを飲んだら、逆に暑くなってきた。2ndステージも楽しんでるうちに、わりと遅い時間になったので、終了後は挨拶だけして、会場を後にした。久しぶりにこの界隈に来たのだが、あまりゆっくりできずに家路を急いだ。

zephyr

zephyrテナーサックス+アコースティックギター+エレクトリックギターというユニークな編成のトリオ”zephyr”のアルバムが発表された。我が師匠・田口悌治氏はアコースティックギターを担当。

zephyrは「ゼファー」と読み、ギリシア神話の西風神の名、そこから転じて西風を意味する言葉らしい。

Amazonで予約して入手、早速聴いてみた。編成がユニークなだけあって、サウンドもユニーク。zephyrという名からイメージできる、風のような心地よい響き。メンバー全員、ジャズミュージシャンではあるが、これはもう、ジャズというジャンルに全くとらわれない、自由な音楽だ。高度な技術をひけらかすことなく(やっていることはもちろん、高度なことだと思うが)、リラックスして聴かせる音楽。ヒーリングミュージックのようで、そんな軽いものでもない。不思議な魅力を感じる。

現在、このzephyrのアルバムリリースライブのツアーが進行中。←ポスターでは全員、ちょっと怖い顔つきをされているが、心優しいミュージシャンばかり(のはず)!関西は5/16(木)和歌山Desafinadoと5/19(日)京都RAG。関西の音楽ファンは、是非参加!

小島のり子トリオライブ

小島のり子トリオ ツアーライブ
2012年9月18日(火)
Ragtime(大坂心斎橋)にて

小島のり子(fl)、田口悌治(gt)、澁谷盛良(ba)の最強フルートトリオ、1年ぶりの関西でのライブ。田口先生がきっかけで知ったこのトリオ、和歌山でのライブを含めると生で聴くのはこれが4回目。今回のツアー、前日は長野県でライブだったので、当日朝に車で移動されたらしい。ハードスケジュールだ。

仕事を終えて19:00頃にRagtimeに到着。エレベーターを降りたら田口先生と遭遇、握手。店に入り、お好きな席にどうぞ、とのことなので真ん中あたりに陣取る。しばらくしたら田口先生も入ってこられて、いつも通り会話。田口先生がいきなりiPhoneの道頓堀グリコ看板の写真を見せて「ほら、これ。この写真を撮ったらホテルがレイトチェックアウトをサービスしてくれるらしい」とのこと。いやー大阪のホテルやったら、グリコの看板をバックに何かアホなことしたらサービスする、とか企画してほしいな。

ベース澁谷さん、フルート小島さんとも1年ぶりの再会でご挨拶。もうこのトリオの皆さんにはとりあえず顔は憶えていただいた感じ。澁谷さんからは「今日も、何か弾く?」ときかれる。大坂でのライブではアフターセッションさせていただき、毎回失敗してるから、印象に残っているに違いない。既に2回、やらかしてるから、もういじられキャラ定着。しかしこんな素晴らしいプロミュージシャンに親しくしていただけるのは嬉しいことだ。

さて、19:30になり演奏開始。スタンダードとオリジナルによる2ステージ。このトリオ、いつもサウンドのバランスがとても気持ちいい。ギターは真空管アンプでコントロールがなかなか難しいと後で聞いた。ベースは生音。いつもながら、明確な音を出されるので聴きやすい。途中、小島さんがアルトフルートに持ち替えて演奏されたが、これがまた心地よい音色。

今回は、演奏前後や合間などに田口先生とじっくり会話ができ、いろいろ聞けたり話せたりして、嬉しかった。

で、今回もアフターセッションをやらせていただいた。田口先生のGibson175をお借りして、Alone Togetherを演奏。テーマを弾いて、早速、イントロのテンポをもう少し速めにしとけばよかったと思い始める。弾きながら、「この『間』は、ちと苦しい」と感じたのだがが、時既に遅し。テーマの後、小島さんがソロ1コーラス。綺麗なソロを吹いていただいたが、もっと聴きながらコンピングで反応できれば良かったかな。

続いて自分のソロ。マイナーII-V-Iのフレーズネタが乏しく、とても単調な感じであるな。修行しなければ。とはいいながらも2コーラスのソロを弾いた後、ベースソロに引き継いだところで事件発生!私のソロの雰囲気を引き継がれたからか、ベース澁谷さんのソロはつぶやくような「ボン…ボン…」といった渋い感じでスタート。それを聴いた私は「テーマに戻れ」というメッセージかと勘違いし(なんでやねん!)、テーマを弾き始めてしまった。小島さんと田口先生が「いや、ベースソロ、ベースソロ!」と発声されて我に返り、ベースソロを聴いて特徴的なDMaj7を捉えてコンピングフェードイン。ステージ近くまで駆け寄った田口先生も「そうそう!」と安堵された模様。何とか演奏終了。今回も、やらかしたね~俺。

小島さんが「毎回、良くなってるねー。ね、ね?」と言ってくださり、お世辞とはいえ、ありがたい気持ち。田口先生は「あそこまでシングルトーンで弾ききるとは!グラント・グリーンか足立か、みたいな。足立グリーンだ。それだと苗字ばっかりだな」と。

トリオの皆さんにご挨拶し、店を後にした。失敗を繰り返しつつ、さぁいつになったら自分はマトモに演奏できるようになるのか?明日からまた修行だ。