山口友生「これでいいのだ!」

Korede 山口友生(g)2011年発表のCD”これでいいのだ! LIVE at P’s Bar“。P’s Barで行ったライブのうち、厳選した内容を2枚組CDにしたもの。先日P’s Barでのライブで購入し、サインもいただいた。

山口氏は、クラシックギターとウクレレを演奏。フルアコやセミアコが主流のジャズギター分野において、クラシックギターとかウクレレは珍しい(ボサノヴァ除く)。また、共演もハーモニカが含まれており、ユニークな編成となっている。曲目は、2枚組のうち、1枚目はオリジナルなど、2枚目はスタンダード中心。

さて、この山口氏の演奏、とにかくすごい。2枚ぶっ通しで、もうホンマにすばらしいグルーヴを感じさせる。これって、何なんだろう・・・クラシックギターという楽器が生み出す、ユニークな感覚のグルーヴだ。もし同じフレーズをフルアコで弾いたら、ちょっとマッチしなかったり、あるいはアーティキュレーションを変えないと不自然なのかもしれない。それくらい、クラシックギター「ならでは」のプレイスタイルだと感じる(演奏者にそんな意識があるのか不明。むしろ、この楽器を手にしたら自然に出てくる歌い回しだということかもしれない)。

同様にジャズではあまり聴く機会がないハーモニカだが、このライブ盤で演奏しているマツモニカというプレーヤも、たまらなく素晴らしい。ハーモニカの音色で安易にブルースな雰囲気を感じるだけでなく、強いメッセージ性も感じる。

アルバムタイトルは「これでいいのだ!」だが、これでいいどころか、こんなすごいの聴かせてもらって、いいんですかとこっちが問いたいくらいだ。とにかく、2枚とも、たたみかけるようなパルスを感じる演奏。ヘビーローテーションで聴きまくっている。

Childhood’s Dream

Childhood's Dream

“Childhood’s Dream”布川俊樹(gt)&福田重男(pf)。先日聴きに行ったP’s Barで、布川氏ご本人から買ったCD。

ピアノとギターというデュオ形式では、かの有名なBill Evans & Jim Hallの”Undercurrent”をはじめ、有名な盤がいくつかあるが、日本の巨匠二人のこの作品も独自のサウンドで素晴らしい世界を描き出した名盤だと感じる。

ピアノとギターというフォーマットは、対話的でダークで(情熱を感じさせながらも)静かといった印象が一つのパターンだと思うが、このアルバムからは、当然、対話的であることは踏まえながらも、「明るい」印象を受ける。曲目のキーによるところも大きいかもしれないが、やはりピアノとギターのサウンドが、春の日差しのような爽やかな明るさを感じさせているのだと思う。ピアノは、端正でエレガントな響きで、ギターはエレクトリックとアコースティックの持ち替えがあるものの、いずれも洒落た流れの音楽を奏でる。

1曲目”Hope in the Cave”を聴き始めて、「ん、ちょっと明るすぎる?」と思ったが、やはり二人のプレーヤーの対話はとても楽しく、2曲目”Bitter Sweet”でしっとりしたサウンドで相互に融け合うピアノとギターを聴くと、どんどんハマり始め、そのまま一気に聴き続けてしまった。コンボなどでのコンピング(バッキング)ではぶつかりやすかったりすると言われるピアノとギターだが、デュオではなぜこんなに魅力的な音世界をつくりだしてしまえるのだろう?

Jimmy Raney “The Influence”

Influence

Diskunionで、Jimmy Raneyの”The Influence”中古盤を入手。Amazonで調べたら、1万円以上の高額で出品されているらしいが、フツーの値段で買えたのでラッキー。しかも年度末セールで10%オフ。

このJimmy Raney、燻し銀とか言われて高い評価はよく聴くが、これまでに持っていた音源はJamey Aebersoldのマイナスワン教材だけだった。正直、それほど興味があったわけではないのだが、なんかジャケットの表情がとても良いし、買ってみた次第。

早速、聴いてみた。うん、とても良い。大人の音楽。ジャケットの雰囲気そのまま、である。ギターという楽器が持つ深い味が、控えめながらもしっかりと伝わってくる。8分音符中心のソロも、なぜか飽きさせない。Jim Hallほど不思議なフレーズではなく、極めてオーソドックス。シンプルなフレーズが、これほどまでに雄弁だというのは、嬉しい話だ。

ということで、早速It Could Happen to Youのソロのトランスクライブを始めてみた。ひとまずワンコーラス完了。極端な速弾きはないので、きっちりとコピーすることを目指してみたい。

川本睦子 LIVE AT MISTER KELLY’S

川本睦子(vo)+竹田一彦トリオによる”LIVE AT MISTER KELLY’S”が発売されたので入手。竹田先生の、ヴォーカルとの共演は他のCDでも聴いており、その心地よいサポートプレイが素晴らしく、今回も楽しみにしていた。

川本睦子のヴォーカルは、声質が地声っぽい印象を受けるものの、パワフルで、また、日本人にしてはきわめてナチュラルな英語なので、聴きやすい。

竹田一彦トリオも、ギター・ベース・ピアノのサウンドがそれぞれ綺麗に聞こえる録音。特にベースが力強くかつまろやかに、よく聞こえるのが楽しい。

ライブ・アット・ミスターケリーズ

ジャズの専門店ミムラ 閉店セール

大阪のジャズCD・レコード専門店として知られるミムラの店主・三村晃夫氏が7月に急逝された。ジャズ界、特に関西のリスナーやプレーヤーにはショッキングなニュースであった。そのミムラの閉店セールが行われたので、会社帰りに行った。

格安の値段がつけられている。ええんかいな~と思いながらも、ありがたく数枚を購入することとなった。

店内では、コルトレーン研究で世界的に有名なあの藤岡靖洋氏も接客を手伝っておられた。

The Complete Paul Desmond RCA Victor Recordings featuring Jim Hallという、ちょっと豪華なつくりのBOXセット(5枚組)があったので、「これいくらでしょう?」とレジの三村氏の奥様と思われる方に尋ねたら、隣にいた藤岡氏が、「うーん、5枚か。ほな、これくらいでどない?高すぎる?」と価格を提示されたので、その値段で買うことに。「1枚あたり、○○円くらいになるし、お得ですわな」と藤岡氏。5枚のうち、2枚は既に持ってるんやけど、それでもお得な値段だ。

Wes Montgomeryの”Straight, No Chaser”。これ、なんか珍しいのではないか。よし、購入。

John Coltraneの名盤かつ問題作”Ascension”。いずれは聴かねばならぬものだと思っていたしなぁ。新品同様なのに破格値。よし、購入。

小島のり子(fl)の最新作”Songs for My Sake”。師匠の田口悌治(g)氏も参加のアルバムだし、こんなに安く入手するのは気がひけるが、購入。

実は、最近1年ほどは、あまりCDを購入しないように気をつけていた。正確にいうと、ちゃんと聴けるペースでしか購入しないようにしていた。もともと、手当たり次第にCDを購入し、あまりじっくり聴きこまないうちにまた新しいものを買い・・・という癖(ビョーキ)があったのだが、手持ちのCDをじっくり聴くことに考え方をシフトしたのだ。しかし、このような魅力的な閉店セールは、私がおさえこんでいるビョーキを刺激してしまう。「そんなに買って、ホンマに聴けるのか?そのCDに、何を求めている?買う必要あるんか?」「いや、だって、お買い得やし、今買っとかなあかんやろ」と葛藤。

結局は、我慢して上記4セット(8枚)のみを購入ということになった。恐ろしく安かったので、自分を許すとしよう。そして、大阪でジャズCDをこつこつと販売してこられた三村氏のご冥福を心よりお祈りします。購入させていただいたCDは、じっくりと聴かせていただきます。

Odyssey of Iska

廃盤となっていて入手が困難なWayne Shorterの「Odyssey of Iska」の中古CDを、ディスクユニオンのサイトの在庫検索で発見。価格も良心的だったので、迷わず注文しました。届くのが楽しみ。

Odyssey of Iska

コルトレーン・コルトレーンでリクエストして聴かせてもらって、その不思議なサウンドが印象的だったのですが、なかなか中古CDショップなどでは扱っていなかったし、amazonの出品ではやや高めの値段がついていたので、今回の出会いはなかなか嬉しかったです。

以前、内田康夫のデビュー作「死者の木霊」の初版本をインターネットの古書店で発見し入手して、それ以来、レアものを見つけた時の興奮にハマってます。