2015年の振り返り

早いもので、もう今年も終わりである。2015計画に対する今年一年の活動を振り返る。

1.練習
(1)レパートリー拡充
 セッションの現場ですぐに使えるジャズ・スタンダード・コレクション100
の100曲を1年かけて全て練習するという計画に対し、「練習した(=譜面を見れば、メロディ、ソロ、コンピングをひと通り演奏できる)」と言えるのはこのうち61曲。達成率61%という、情けない数値。
 もう少し、詳しく振り返ってみる。まず、曲名のアルファベット順に1月から毎週2曲を課題として練習する計画を立てたのに対し、今年前半はこの課題に対してサボりがちであったつもりだが、ちゃんと確認してみると、後半の曲の方が、手つかずが目立つ。
 次に、この100曲のうち、「そもそも、聴いたことがない曲」がちらほらあり、そういう曲は優先順位を下げた結果、手つかずとなったものがある。年初に決めた計画に対して、なぜ勝手にそういう軌道修正をしてしまったのかというと、まぁ練習が追い付かないからというのもあるのだが、「セッションで演奏される機会がそれほど多くないのではないか」と感じたから。そして、後述するセッション実績においても、この100曲課題においてスキップした曲が演奏されることは、なかったので、この判断はひとまず間違っていなかったのではないかと思う。
 ひとまず、セッションで「この曲やりましょう」と言われて、「全く知らないので遠慮します」みたいなことにはならず、何とか演奏してみるということができるようになったのは、前進であると考える。
 ただし、計画に対する達成率の低さは問題として認識する。背伸びした目標設定であることははじめからわかっていたのだから、しっかり完遂することが重要。この点においては、反省する。

(2)アドリブ
 ジャズギターのアドリブのバイブルである続・目からウロコのジャズ・ギター[実践編](DVD付) (jazz guitar book Presents) からのコピーは、ボチボチ。これ、測定可能な計画設定ができてないから、達成度の評価が難しい。達成度ボチボチって、どないやねん。まぁ、年初にはもっとコピるイメージで考えていたので、そういう意味では達成度は低いか。
 今年は、これに加えてDuoRama Standardsの教本が出たので、それを勉強した。続ウロコ本とは異なるアプローチやフィーリングを学び、実際に演奏に活かすこともできた。

(3)コンピング
 アドリブ同様に続・目からウロコのジャズ・ギター[実践編](DVD付) (jazz guitar book Presents)からコンピングネタを勉強し、演奏した。ただし、全く新しいネタを習得したというよりは、トニックやII-V-Iのこれまでから知っていたネタを定着させることができた、という感じか。

(4)イントロ、エンディング
 イントロは、セッションにおいてもとりあえず何とか演奏するようになってきたが、さらにもっとしゃれたネタを仕込むことができるようになるべき。エンディングは、セッションで「?」となって間が空いてしまうことがあったので、要練習。

(5)any key
 これは、まだまだ修行中。曲のベースラインをしっかり耳でおぼえ、指(フレット)が連動するようにすることと、コート進行の度数での認識、の両面で、もっと取り組む必要あり。
 ヴォーカル入りのセッションで、スタンダード曲などを初めてのキーで演奏することは何度かあったが、譜面があれば、初めての曲を含め、コンピングやアドリブの演奏は何とかなるものの、これが譜面なしであったら、とたんにパニックに陥ったと思う。

2.演奏
(1)ジャズフェスティバル
 予定通り、びわこジャズフェスティバル、Jazz at Sanjo、大津ジャズフェスティバルに出演することができた。演奏のレベルは、少しずつは進化したつもり。
 演奏に加え、Jazz at Sanjoはスタッフとしての仕事もさせてもらい、これも充実した経験となった。

(2)セッション
 バンドでの演奏以外のセッションは、ほとんど参加していなかったのだが、11月頃から連続して参加することとなった。
 大阪寝屋川市のmicci倶楽部でのセッション、京都伏見稲荷のAnsonia Cafeでの諸先輩のライブへの飛び込み参加、滋賀県長浜VONでのライブなど、数えるほどであるが毎回のセッションで得るものは大きかった。

以上であるが、やはりセッション参加で得るものが大きくて、そういう意味ではもっとセッション回数は増やすべきだったと思う。ただし、地道に練習していたことがセッションで活かせたというのも事実なので、練習時間もちゃんと取れたことはよかった。ひとまず、大体の有名どころのスタンダード曲には何とか対応できるようになってきたというのが進歩で、そうは言いつつも演奏内容はまだまだ改善の余地がたくさんある、ってとこか。

小澤征爾 指揮者を語る (100年インタビュー)

小澤征爾 指揮者を語る (100年インタビュー)

小澤征爾 指揮者を語る (100年インタビュー)を読んだ。NHKのインタビューをもとにした本。

2002年からウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めていた小澤征爾が、素人目線での質問に答えてゆく内容。音楽のプロではない立場からの質問ばかりなので、とてもわかりやすい。

大きく分けると、ウィーン国立歌劇場の仕事の話、単身渡欧してからの修行の話、サイトウ・キネン・オーケストラの話、「指揮者とは?」の話。

指揮者が何をやっているのか、については「インバイトだぞ、指揮は」というカラヤンの言葉を使いながら説明しているのが、わかりやすい。そういう表現があるのだな。

他のいろんなメディアでも小澤征爾は早朝から勉強しているという話は読むが、このインタビューでは、ウィーン国立歌劇場の音楽監督室に、早いときは朝4時に来て10時の練習まで勉強すると語られている。この熱意は、見習わなくてはならんなぁ、と長年思ってるけど、全然実行できていない。できる人とできない人の、違いやなぁ

KRONOS QUARTET “THELONIOUS MONK”

弦楽四重奏団Kronos Quartetによる、MONK曲集。このKronos Quartetは、学生時代(うーん、よくよく考えると20年以上前だ・・・ショック!)によく聴いていたのだが、この盤の存在は数年前に知ったのだった。聴こうと思いつつ、なんか後回しにしていたのだが、ついに聴いた。

Monk Suite

1. Well, You Needn’t
2. Rhythm-A-Ning
3. Crepuscule With Nellie
4. Off Minor/ Epistrophy
5. ‘Round Midnight
6. Misterioso
7. It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)
8. Black And Tan Fantasy

9. Brilliant Corners

クロスボーダーな音楽を自在に演奏するKronos Quartetだから、Monkももちろん独自の美学に納めた素晴らしい演奏。ジャズ的なインプロヴィゼーションは聴かれないものの、弦楽四重奏にコンヴァートしたMonkの普遍的な音楽の魅力が堪能できる。例えば、わかりやすい(というか、聴く前から容易に予想していた)’Round Midnightの美しさ。これはもう、ジャズとかクラシックとかいうジャンルを超越した、大人の音楽だ。

全曲を通して、Monkの音楽の奇妙な一面をわざとらしく見せつけず、どちらかというとエレガントな演奏でまとめているのだが、これもKronos Quartetの独自の路線を突っ走る感じで、好感が持てる。例えば、Monkの音楽の良さがよくわからないというリスナーにとって、この盤からMonkに入ってみるというのは、大いにアリだと思う。Monkによる作曲でないものも一部、含まれているが、アルバムとしては統一感のある仕上がり。

Kronos Quartetについては、前述の通り、この20数年間、聴いてきたので色々語りたいことはあるのだが、発散するとキリがないので、とりあえず今日のところはこのMonk曲集のみについて呟いて終わりにしとこ。

大津ジャズフェスティバル出演

今年も、大津ジャズフェスティバルに出演させていただいた。野本さん(gt)、川村さん(ba)との弦楽器トリオ “Koto Trio”。このトリオ、活動開始して2年くらい。だいぶ、慣れてきた。

今年の会場は、真宗大谷派 大津別院。本堂と書院は重要文化財という、すごい場所だ。ええんかいなー

この会場では一組目だったので、会場入りした時点では、スタッフの皆さんが準備中だった。挨拶をしながらお堂に上がり、既に到着してくつろいでいる川村さんに合流。

そうこうしているうちに、野本さん到着。時間に余裕があるから、のんびり準備開始。音量のチェックなどを念入りにしたが、それでも時間が余っている状態。

ZT LunchboxはVolumeはMax、Gainは真ん中くらい。Toneは忘れたが、ほとんど絞っていたと思う。ギターは、VolumeはMax、Toneはゼロ。これで、音圧が足りなければアンプのGainで調整する、と。

ステージは、お堂(向かって)右半分。客席は、お堂の左半分と、境内。半屋外という感じの会場である。それにしても、雲一つない秋晴れで、気温もちょうど良く、屋外でジャズを弾いたり聴いたりするには、もう最高に気持ち良い日だ。

セットリストは次の通り。

  • Beautiful Love
  • Corcovado
  • It Could Happen to You
  • Moonlight in Vermont
  • But Not for Me
  • Blues in Bb

司会の女性と話して、少し早いけど、5分ほど前倒しで演奏スタート。Beautiful Loveでは、なんか、野本さんのギターと自分のギターの音が、完全に混じってしまって、相互に埋没している感じ。途中でギターのToneを上げて、音色に少しエッジを効かせることにした。うん、なんかうまく調整できた感じ。まぁ、演奏しながら少しでも状況判断をしたりできるようにはなってきたかな。しかし、この曲は、早めのテンポで演ろうと打ち合わせていたため、失速しないよう注意しすぎて、やや暴走してしまった。ベース聴きながらあわてて調整することが何度かあった。

今回はMCはギター野本さん。メンバー紹介などを挟んで、Corcovado。シングルノートに徹してしまって、単調すぎたかなと、やや反省。

It Could Happen to You、アトテーマは野本さんだが、こっちが勝手に4barsに突入してしまった。結果オーライ。

Moonlight in Vermont、先月の京都三条フェスティバルではハウリングに困り果てたが、今回はハウリングなし。まったりしすぎるのがいつも問題になってしまうのだが、今回はテーマもソロも抑揚やアクセントで多少は改善したつもり。

But Not for Me、イントロでトチってもーた。コラッ。

Blues in Bb、野本さんオリジナルの団子坂ブルース。直前2週間ほど、色々練習しておいたネタは少しは出せた感じ。

お堂の上がメイン客席となっているのだが、お客さんはわりと遠慮して上がってこられない。それでも数組の方が上がってきて、座ってのんびり聴いてくださった。そうそう、そういうリラックスした感じが、いいのです。

境内での立ち見のお客さんも多数。繰り返しになるが、天気も良くてジャズ日和、我々の演奏はともかくとして、お客さんもフェスティバルを楽しまれたと思う。

さて、演奏終了し、片付け、3人で昼飯。それにしても、本番終了後に異常なほどに疲れが出るのはいかがなものか。京都三条フェスティバルの時はスタッフとしての業務もあったのだが、今回は純粋に演奏者としての疲れだけのはずなのだが、腹が減って痛いくらいに感じる。演奏時に緊張はあまり感じないのだが、実は本人が気づいていない精神的なプレッシャーがあるのかなぁ。あるいは、本番に合わせて40分なりのぶっ続けの演奏を普段から練習していないからか。プロならば、2時間とか3時間とか弾くわけだしなぁ。修行が足りん、ということか。

ともかく、飯を食って復活し、マイルストーンで2組ほどの演奏を聴いて、家族と合流して帰宅。

録音を聴いてみたが、とりあえず、今までの演奏の中では、一番良いようだ。次は、更に上を目指す。さぁ練習、練習。

Abdullah Ibrahimソロピアノコンサート

Abdullah Ibrahimのソロピアノコンサート。2015年10月10日、会場は京都の上賀茂神社。京都のジャズ喫茶Lush Life主催で、ボランティアスタッフ等で運営されているライブである。

アフリカン・ピアノ

実はこのピアニストのことは、あまり知らなかった。1934年、南アフリカのケープタウン生まれ。1960年代にヨーロッパに渡り、Duke Ellingtonに見いだされ、アルバム”African Piano”でジャズ界に確固たる地位を築いたというプレーヤー。

そろそろ日が落ちる17時過ぎに地下鉄北大路駅に到着、そこから鴨川の河川敷をてくてく歩くこと約20分、上賀茂神社に着いた。

考えてみると、私、上賀茂神社に来たのは初めてである。下鴨神社とは、少し違った雰囲気であるが、いずれにしても落ち着いて清らかな気持ちになる空間だ。

今回のコンサート会場は、「庁の舎」(ちょうのや)という建物の中。建立当時は、厨房として使われていた建物らしい。スタッフが懐中電灯で客の足元を照らしてくれる。

受付を済ませ、建物の中に入る。長い建物の中ほどにスタインウェイ。客先は座布団だ。なかなか、いい感じ。しかも、外のコオロギか何かの声が聞こえてきて、涼しい秋の夕暮れを演出する。

さて、開演予定時刻を少し過ぎて、Abdullah Ibrahimが登場。長身で、足取りはゆっくり。ピアノにたどり着くまでに、譜面台か何かについて注文をつけている模様。セッティングが完了し、ピアノの場所まで着くやいなや、椅子に座ってすぐに演奏開始。ソロピアノコンサートだから、当然ながら、ピアノソロの演奏を聴かせる。

Keith Jarrett風、ECM風のサウンド。ノンストップで(途中、曲想が変わる「間」はあったが)40分くらいの演奏で、テンポの変化はあまりなかったのだが、不思議なことに、全く退屈しない。迷走するかのような音楽なのだが、ひたすら音に集中して聴いてしまうのだ。不思議な魅力だ。スタンダード曲をモチーフにしているように聴こえたのだが、よくわからない。

前半の長大な1曲を聴き終え、30分間の休憩。長い休憩でんな。建物の外に出て、コーヒーを飲みながらぼんやり休憩。

会場に戻り、後半の演奏もまた、長大な1曲。前半よりも時間は長かったかな。前日が81歳の誕生日だったとのことで、皆でハッピーバスデイを歌い、Lush Lifeマスターから花束贈呈。アンコール1曲で、コンサート終了。

間近で聴くピアノのサウンドは、コンサートホールとは異なる格別な体験であり、また、この演奏者のスタイルと上賀茂神社というのがちょうど良いコンビネーションで、心地よく聴けたコンサートであった。

DuoRama Standards

布川俊樹(gt)&納浩一(ba)の”DuoRama Standards”。このコンビによる最新アルバムで、タイトル通りスタンダード曲を中心に演奏したアルバム。
DuoRama Standards
全曲を通して、布川節が炸裂という感じであるが、特にこのアルバムでは太い音色で男らしいサウンドが印象的。やはり、コーダルなプレイでありながらコンテンポラリーな色彩を感じさせる独自のスタイル。納氏のベースも、グイグイと前進するグルーヴを生み出し、自由に歌う感じ。

ちなみに、このアルバムは布川氏によるギター教則本とも連動しており(教則本は今のところ、オンラインや書店での販売はされていない模様)、これがまた、とても勉強になる。私がバイブルとしている「続・目からウロコのジャズギター」(菅野義孝・著)とはかなり異なるアプローチやフレージングが多いし、わかりやすい解説もついているので、視野を新たに広げることができる。「はぁー、そういう考え方で、こういうフレーズが出てくるのか」と納得しながら読み、聴くことができる。Lydian7thとか裏コードのマイナーコンバージョンとか、繰り返し姿を現すフレーズなんかもあり、プロもある程度はパターン的な発想でアドリブを組み立てているのだということもわかってくる。よっしゃ!(何が?)

おっ、そういえば、もう秋(今更!)。芸術の秋、意識的に演奏と鑑賞を堪能しよっと。

Jazz at Sanjo

Jazz at Sanjoが開催された。9月12日(土)の昼頃から晩まで、メイン会場の京都文化博物館と14のサブ会場で、プロやアマが入り乱れて演奏を聴かせるイベント。

今年は、Koto Trioでの演奏に加え、スタッフしても参加させていただいた。事前に定例ミーティングを重ね、チラシやパンフの準備を実施。前日はリーダーUさんの指示のもと、学生スタッフと一緒にいくつかのサブ会場に機材を搬入。休憩時間に学生スタッフと会話したが、みんな若いが音楽への情熱はすごい。音楽に関する知識も、すごい。しかも、礼儀正しくて驚いた。いいなぁ。

さて、当日朝、社会人や学生のスタッフが京都文化博物館に集合。機材もどんどん運ばれてくる。博物館の別館ホールに入り、全体ミーティングの後、会場の設営。LINEで連絡が飛び交う。機材運搬用の車がトラブルで動かなくなった、とか、なんかいろいろある。私も、責任者として担当していた会場のPAが急遽、別のサブ会場に駆り出されたので、自分ひとりでやることになったりした。前日に説明きいといてよかった。

Bunpaku文化博物館別館ホールはこんな感じ。風情があって、いい建物。学生時代に過ごしたギタークラブのBOXがあった学生集会所も、昔はおそらくこんな感じだったに違いない。ボロさが違ったけど・・・

さて、座席へのビラ置きなどをしてから、昼前に、自分が担当するサブ会場JEUGIA Basicに移動。ここで自分も演奏することになっている。到着してLINEを確認したら、会場で配布するチラシとパンフを持って来なければならなかったと判明。後で駆けつけてくれた学生スタッフFさんに頼んで、取りに帰ってもらった。ゴメン。

Jeugiabasic司会進行をして、13:00に一組目の演奏開始。たなべようこトリオ(ヴォーカルトリオ)。14:00からは、富山県からの2GtAsの演奏。上手い。次に自分が演奏するのに、ヤバいやないか。

15:00からいよいよ自分のバンドKoto Trioの演奏。司会とMC、どっちもまとめてやっちゃう。前に演奏されたバンド2GtAsの皆さんが残って聴いてくれていて、緊張してしまう。ま、緊張というわりには大きな破たんもなく弾いたのであるが、それでもやっぱり、本番っちゅーのは、思ったような演奏はできないもんである。事前に練習してみたことはほとんど出てこない。ベース川村さんが車を取りに行っている間に、ギター野本さんと二人でパイプ椅子に座って反省会。

野本さんと川村さんが帰った後、学生スタッフFさんと機材の片付け。搬出はしばらく待つようにとの指示があったので、しばらくは店内で本を見たりして待機。そうしているうちに若いスタッフが駆けつけてくれたので、皆で機材を搬出。JEUGIA Basicの店長に挨拶をして退出。とても気さくで感じの良い店長さん、本当にお世話になりました。このJEUGIA店舗は、音楽と本とに囲まれた、天国のような場所。またちょくちょく来ます。

会場の責任者でもあったし、演奏者でもあったので、事前に昼飯を食うという気には全くなれなかったのだが、片付いたとたんに苦しいくらいに腹が減ってきた。文化博物館に戻る途中にコンビニで蕎麦とおにぎりを食って、半分だけ生き返った。

Bunpaku_entrance文化博物館に戻ったら、やっぱり疲れがどっと出てきて、スタッフルームで座ったままどよーんと休憩。他にも同じようなスタッフが机に突っ伏してダウンしてたりする。そうこうしているうちに、新風館での機材撤去のヘルプ依頼がLINEに投稿されたので、駆けつけて機材片付け。リーダーUさんがサブ会場から何回かに分けて回収してくる機材を車から降ろしては片付ける。

新風館での作業を終えて、再び文化博物館へ。最後の組の演奏が終わり、椅子や機材を撤去。

スタッフ全員で記念撮影して、拍手。いやほんま、お疲れ様でした。

そこから移動して、打ち上げ。リーダーのヴォーカリストKさんの発声で、皆で乾杯。ビールが美味い。2時間ほど飲み食いして盛り上がって、解散。終電で帰宅した。

ジャズフェスティバルのスタッフというのは初めての経験だが、本当に楽しかった。リーダークラスのスタッフは本当に大変だったろうと頭が下がる思いである。いろんな課題はあると思うので、来年度にどのように改善してゆくか、これまた楽しみである。

あ、演奏もグレードアップしないと。

STEVE GADD BANDライヴ

STEVE GADD BANDのライヴに行ってきた。2015年9月8日、場所は大阪CLUB QUATTRO。

Steve Gaddは、NY州Rochester出身、Rochester大学Eastman School of Musicで学んだという経歴だから、かの地に2年間住んでEastman Schoolでジャズギターを習った私としては、勝手に大先輩として親近感を抱いているのだ。

Eastman Schoolでの私のジャズギターの師匠Bob Sneider氏もやはりSteve Gaddとは親しいってことだし、更にはLarry Goldingsとも親しいとのこと。

遅ればせながら、8月末にチケットを購入し、このバンドのCDも入手して予習した。メンバーは次の通り。

  • Steve Gadd (dr)
  • Michael Landau (gt)
  • Larry Goldings (org, key)
  • Walt Fowler (tr)
  • Jimmy Johnson (ba)

さて、ライヴ当日。会社を定時に退出し、CLUB QUATTROへ直行。「全席自由席」とのことだから、早めに行こうと思ったのだ。ところが、会場の受付に行ってみたら、「チケットに記載の整理番号順に案内します。会場までは時間がありますので、あとで来てください」というので、いったん退散し、泉の広場近くの喫茶店へ。コーヒーを飲みながら、同じライヴを聴きに来る予定のギター野本さんにメッセージを出して、読みかけのジャズ本を読むという優雅な時間を過ごす。そうしているうちに、野本さんも喫茶店に合流。いつものようにジャズ談義で盛り上がって、開場時間頃に再び会場へ。

受付に到着したら、今度はもう、長蛇の列。10Fの受付から階段に沿って行列が5Fまでつながっとるがな。なんじゃこれ。そして、整理番号順に案内と聞いてたのに、「1番から190番までのお客様は入ってください」とのおおざっぱな案内。行列は整理番号順じゃなくてきた順に並んでるし、誰が何番なのかわからんし、結局、何のための整理番号かさっぱりわからん。もっとちゃんとシステマティックにやってほしいよな、みたいな声があがる中、ようやく受付を通過してホール入り。カウンター近くの、わりとステージがよく見える席に着く。

ビールを飲みつつ、開演を待って、ついにバンドメンバー入場。セットリストはこんな感じであった。Steve Gaddによる曲名紹介、Rochester訛を感じて、なんか嬉しい。特に「Elegant」の発音に訛を感じたな。

  1. The Windup
  2. The Long Way Home
  3. Green Foam
  4. Desu
  5. Africa
  6. Duke’s Anthem
  7. Way Back Home
  8. Ask Me
  9. Elegant Square
  10. Sly Boots
  11. (アンコール)不明

CD聴いたときから思っていたのだが、このバンドは、もうジャズというジャンルの範疇なのかは、よくわからん。まぁそんなことはどうでもよくて、バンドとしてのサウンドのバランスとかがとても心地よい。もちろん全てのメンバーが一流だからそれぞれの個人技は素晴らしいはずなのだが、名人技を順番に聴かせてゆくスタイルではなく、アンサンブルとしての音楽を聴かせるバンド、という印象。

終演後、サイン会がセッティングされていたので、これまた長いこと行列で待って、持参したCDにサインをもらった。全メンバーと会話したのだが、全員が、すっごく感じのいい人々。さっきまでの演奏中の真剣な顔つきとは打って変わって、普通のアメリカ人のおっちゃん達って感じ。Walt Fowlerはにこやか。Jimmy Johnsonは挨拶しながら握手したとたんに突然「君、楽器やるのか?」と聞いてきた。「ええ、少し」「何を弾くの?」「ジャズギターを」「そうか!握手した時の手の構えが、楽器を弾く感じだと思ったぜ」とのこと。ホンマにそうなの?「いや、自分でもそんなこと知らんかったわー」って言ってるうちに、Jimmyが隣のギターMichael Landauに「彼、ギター弾くんやって」と告げて、Michaelがこれまたすっごく感じの良い笑顔で挨拶。Larry Goldingsには師匠Bob Sneiderの話をしたら「よく知ってるよ。彼の兄さんのJohnもよく知ってる。一緒に演奏してるよ」とのこと。最後にSteve Gadd。やはりBob Sneiderの話をして、「Rochesterに2年間、住んでたんやで」と話すと、「(Rochesterは)寒いよねー」って反応。「こいつ、Bob Sneider知ってるらしいぞ」と隣のLarry Goldingsに声かけてた。演奏を聴いても、近くで会って話しても、とても70歳とは思えない若さを感じる。

ちょっとした手違いがあり、サインはジャケットとブックレットの2つに分かれてしまった。どっちか1つに5人のサインを揃えるでしょ、普通。Steve GaddとMichael Landauのサインは両方に書かれた。うーん、ま、いいか。

またギター野本さんと電車で音楽談義で盛り上がりながら帰宅し、またビール飲んで寝た。

翌日も、復習と称して通勤中にこのCDを鑑賞。うーん、やはり、どこかにありそうでなさそうな、ユニークなサウンドだ。

ちなみに、このバンドメンバーでの録音は2枚あり、この日の演奏曲は全てこの2枚に収録されたもの。ジャケットは1作目のGadditudeの方がいいな。

ガッドの流儀

70 ストロング

原りょう「ミステリオーソ」

小説に続いて、原りょうのエッセイ集「ミステリオーソ」を再読。これを読むのはおそらく3回目。「りょう」の字は、「寮」から「ウ冠」を除いた字なのだが、パソコンでは、なんか、出ないのだな。
ミステリオーソ (ハヤカワ文庫JA)
この作家は、作家としてデビューする前にフリージャズのピアニストをやってたくらいの人だから、音楽ネタが多い。音楽以外では、小説や映画ネタが多い。

この人は、「これは」と思ったものにはとことん心酔し、どっぷり浸かるようであり、小説ならレイモンド・チャンドラーやドストエフスキー、音楽ではデューク・エリントンやセロニアス・モンクなどと、自身が読み聴きしまくったものを愛情をもって語りつくしている。

そして、この原りょう氏は、佐賀県鳥栖市の有名なジャズ喫茶「コルトレーン・コルトレーン」のマスターの弟さんなのだ。このエッセイの最後の方には、このコルトレーン・コルトレーンを拠点として活動開始したビッグバンドの話も載っている。

結局、このエッセイ集も、一気に読んでしまった。しかし実は!この作家の小説は、以前何度か読みかけたが、途中で読み進めることができず、毎回中断したのだ。おそらく、ハードボイルドな文体とか雰囲気が、受け入れられなかったのだろう。今なら、ひょっとしたら読めるのだろうか?

小説更にいろいろ

先日からの読書、更に続いている。家にある、家族が読み終えた小説を片っ端から読んでいる。
切り裂きジャック・百年の孤独
島田荘司「切り裂きジャック・百年の孤独」。島田荘司はわりと好きな作家で、傑作「占星術殺人事件」をはじめとする多くの作品を読んだのだが、この「切り裂きジャック」もやはり楽しめた。島田荘司は安定してるね。

舞台はベルリンが中心。敢えて翻訳文のような、こなれていない文章も、これまた違和感なく読めてしまうのがこの作家の腕か。グイグイ読み進めてしまうところ、やっぱりすごい。

スナーク狩り (光文社文庫プレミアム)
宮部みゆき「スナーク狩り」。この人の作品も、たくさん読んできたが、このだいぶ古い作品も、やはり一気に読んでしまうクオリティであった。息もつかせぬ展開、しかし登場人物一人ひとりの人間模様が丁寧に描かれていて、決して浅くないドラマ。宮部みゆきも、安定しているな。素晴らしい。